君に会いたくて(レイエ)

彼女の髪はとても細く、綺麗なブロンドの柔らかな髪だ。
今まで男として偽っていたためか、ほとんど麦わら帽子を被っていて、それを取ることは全くと言っていいほどなかった。
だけど男の振りをやめてからは、頻繁に麦わら帽子を被らずに長いポニーテールの姿を見ることが多くなった。

(何で俺、イエローのこと今まで"女の子"って気づかなかったんだろう…;)

今まで気づかなかった自分を恨みたい。
しかも、だ。俺以外の皆はとっくに知っていたらしい。
なら教えてくれてもよかったのに!…なんて思っていた、けれど。

(そういえば、イエローの笑顔に胸がドキッと鳴ったことがあったな…)

男だと信じていた時にそんな感情を自分の中の何が感じた。
その時は、「イエローは"男"なのに…!俺どうしたんだ!?」と思っていたけれど。
今ならわかる気がするような気分で。
"女の子"と思ってしまうだけで、突如胸が苦しくなる。
あまり回さない頭を懸命に回して考えて…そして気付いたんだ。


「あぁ、そうか。俺は…」


(君の色んな"表情"が好きなんだ)


太陽のように笑う顔、少し怒った顔、顔を赤くして照れている可愛い顔も。
色んな表情を君はするから、俺は少しずつ君のことをもっと知りたいと思うんだ。
そう思うと、今すぐ君に会いたくなってきた。
モンスターボールからプテを出し、トキワシティまで飛んでもらった。
目的のトキワの森へと行き、森の中を歩いてると…


「あれ?レッドさん?」


今一番会いたい君の声が後方から聞こえてきた。
ゆっくりと振り向くと、そこにはいつも被っている麦わら帽子が無く、長い髪がふわふわと揺れるポニーテール姿の君―――イエローがいた。


「イエロー」


俺は笑顔で彼女に近づいた。
彼女と一緒にいると、いつも心が落ち着くような感触になる。
それは彼女の本能みたいなものだと思う。
嫌なものを全て包んでくれる、優しさ。

――俺はきっと、君の優しいところに惹かれていったんだ。


「久しぶりですね、レッドさんとお会いするのは」
「しばらく修行していたからなー」
「あんまり無茶はしないで下さいね」
「ははっ、ありがとう」


笑顔だが、心配そうに話してくれるイエローに、俺もつられて笑った。
そういう他愛な会話を繰り返す俺達。
いつでも彼女は俺を心配してくれる。
それも彼女の本質だろう、君はポケモンも人も傷付くのが嫌だから。
君の"能力"はトキワの森に何年か一度に生まれる、ポケモンの気持ちを読み取ったり、ポケモンの傷を癒すことが出来る力。
その優しさがあるから、トキワの森はずっと生き続けるのだろう。


「そういえば、レッドさんはどうしてここに?」
「…!」


イエローが俺の顔を下から覗くように見たため、イエローは上目遣いをしている。
もともとイエローは身長が俺より低いため、俺を見上げなければいけないけれど…そのたびに彼女は上目遣いで俺を見上げるのだ。
無意識とわかっているけれど、次第に俺の顔が熱く赤くなるのがわかる。
赤い顔を見られないように、一度イエローから視線を外した。

「レッドさん?大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…大丈夫…」

何とかはぐらかして、ようやく顔の熱が引いていきたので彼女と向き合った。


「…イエローに会いたくてここに来たんだ」
「えっ…」


イエローはというと、ポカンとした表情に変わっていた。
そう告げた俺は、多分顔が赤い。いや、絶対に赤い。
しばらく沈黙が続き、少ししか時間は経っていないのに、とても長く経ったように感じられる。
ちらりとイエローの方を見ると、彼女の顔が林檎のように真っ赤になっていた。

「イ、イエロー?」
「…レッドさんは心臓に悪いです」
「えっ!?な、何で!?」
「だって…」

さらに顔を赤くした彼女が小さく、だけどはっきりと一言呟いた。


「…ボクもレッドさんに会いたかったですから///」
「えっ…///」


予想外の彼女の言葉に、またさらに俺は顔が赤くなった。
何でこんなにも、君は可愛いのだろう。
だからかな…君をずっと守りたい。
君を守れる存在に、なりたい―――。


「だ、だったら!今からトキワの森で一緒に過ごさないか?」
「えっ?」
「だってさ…」


――俺達お互い、会いたかっただろう?
それって、一緒にいたいってことじゃないかな――?
そう彼女に伝えると、一瞬驚いた表情をしたて顔が赤くなったけれど、

「はい!」

いつもの優しい笑顔で答えてくれた。
その優しい笑みに、胸がドキッと鳴る。

――俺はずっと、君をもっと好きになる。

「じゃあ行こうか!」
「はいっ」

――想いを伝えるのはまだ勇気が足りないけれど、俺はずっと君を思い続ける――。






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