好きなもの(ルサ)

「♪〜」

サファイアが鼻歌する程、上機嫌だ。
機密基地で僕は裁縫、サファイアは音楽プレーヤーで音楽を聴いていた。
まず、あの野性児が音楽プレーヤーという最新の物を使えることに驚いた。
きっと博士に聞いたのだろう。
どんな音楽を聴いているのか、僕も気になってしまう。
どんな曲が好きなのかなって。
そこで僕はサファイアの肩をポンッと叩いた。
サファイアは肩を叩かれて、僕の方を向いた。

「ん?なんね?」
「それ、何を聞いているの?」
「あぁ、これ?」

ニコッと可愛らしく幸せそうに笑うサファイアに、胸が高鳴った。
そういう1つの動作にも、また「好き」が積る。

「ついこの間テレビのチャンネルを変えた時、この曲が流れとったんよ。すごく可愛か曲やなーって思ったと」

僕はさらに驚いた。
サファイアがテレビを見るなんて。
彼女は自然の景色を見る方が好きだから。

「君がテレビを見るなんてね」
「たまたまつけとったんよ」

まぁ確かに。たまにつけるぐらいにしか機会がないと。
色々と納得してしまった。
やっぱりサファイアはこうだなと改めて感じた。
すると、サファイアが1つのイヤホンを僕に差し出した。
…ん?


「聴いてみ?」


フフッと笑うサファイアは、何でもお見通しのようで。
きっと気に入るから、と顔に描いていた。

「うん」

僕はイヤホンの右の耳へ入れてサファイアお気に入りの曲を聴いてみた。


「Wao…」


そのメロディーはとても優しく奏でられていて、歌と綺麗に合っていて。
まるで嫌なものを包んでくれる、安心感。
優しく、幸せにしてくれる。


「どうやったと?」


柔らかな微笑みをするサファイアは、大人っぽく見えた。
いつもは怒る顔とか照れる顔とか可愛く笑う顔とか見せるけれど、時々大人な表情をする。
綺麗な藍色の瞳がキラキラしていて。
お互い成長しているのだと感じられる。

「うん、beautifulかつcuteな曲だったよ」
「そうやろ?それを聴くと幸せになるち」

目を細めて笑うサファイアは幸せそうで。
僕も嬉しくなった。

「好きなものを考えると、嬉しくなったり幸せな気持ちになるとねー」

フフッと楽しく笑うサファイアに、少しいじめたくなった。


「僕のことを考えている時も?」
「んなっ!?///」


耳元で小さく、だけどはっきりとサファイアに聞こえるように囁いた。
案の定、サファイアは顔を赤くした。
反対に僕は不敵に笑う。
初々しい反応のサファイアに、愛しさが溢れだす。

「僕はサファイアのことを考えている時はすごく嬉しいし、幸せな気持ちになるよ」
「な…な…っ」
「サファイアはどうなの?」

ん?と微笑むと、さらに顔を赤くして下に俯くサファイア。
その隙に、自分の腕の中に閉じ込める。
ビクッと肩が上がるサファイアに、まだ抱きしめられるのは慣れてないんだなと思った。
ふいに、腕の中にいるサファイアがポツリと呟いた。


「…しも」
「えっ?なんて?」
「あ、たしも…っ」
「うん?」
「ルビーのこと…考えているだけで、嬉しかやし…幸せ、とよ…っ///」


僕の胸で顔を隠すサファイアが可愛くて可愛くてしょうがない。
それだけ僕はサファイアが好きなんだろう。
愛しくてたまらない。


「サファイア、好きだよ」
「…っ、あたし、も…」


恥ずかしがる彼女の頬に優しくキスを落とした。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -