幸せな時間(ルサ)

心地好い風が、秘密基地に優しく吹かれる。
そこには、ルビーとサファイアがいた。
二人は秘密基地に備えられてるソファーの端に座っている。
ルビーは裁縫、サファイアはテレビを見ていた。
ルビーは裁縫をしながら、楽しそうに笑うサファイアに目を遣る。
その無邪気で可愛らしい横顔は、自分まで嬉しくなる程魅力的だった。

「ねぇ、サファイア」

裁縫をしている手を止まらせそう声掛けると、こちらへと向いた笑顔なサファイア。

「なんね?」

サファイアは何だろう?とはてなマークを頭に浮かべながら、体育座りをし自身の膝の上に顎を乗せ、ルビーに視線を合わせる。
コロコロと表情が変わるサファイアは、本当に可愛い。
しかもその格好、わかってる?


「ひゃ?!」


サファイアの驚愕の声に一切気にすることもなく、ルビーはサファイアを自身の腕の中へと引き寄せた。
華奢で軽いサファイアは呆気なくルビーの腕の中。
しかし、サファイアは暴れなかった。

「どぎゃんしたと?」

サファイアの優しい声は、とても心地好い。
ルビーは心が温かくなるのを感じた。

「せっかく君と一緒にいるのに、離れているとなんだか寂しくて」

そう言って、ルビーはサファイアをギュッと抱き締める。
サファイアは何も言わずに、ルビーを優しく抱き締め返す。
その顔には、笑み。

「大丈夫ったい。あたしはここにいるとよ」
「うん」
「そげん心配せんでもよか」
「うん」
「…まだ何かあると?」

未だにしょぼんとした表情のルビーに、サファイアがそう言うと、待ってました、とばかりの満足な笑みのルビーが。
サファイアはしまった、と察知しても、既に遅し。
ルビーの口から紡ぎ出された言葉は―


「キス、していい?」


予想通りの言葉が降って来ても、やはり少しばかり顔が赤くなるのを感じる。
…それでも。
愛しいこの時間に、瞬間にしてくれるのなら。
あんたのお願い、聞いてあげるったい。
そう頭の中で思考し、サファイアはゆっくりと瞼を閉じる。
すると直後に唇に来る、優しく甘いそれ。

「ん…」

嗚呼、もう。
ルビーのことしか考えられなくて。
あまりにも優しいキスに、サファイアは溺れそうになる。
キスしてる時間は短いのに、こんなにも長く感じる。
そうすると、ゆっくり離れる唇。

「ふぁ…」
「本当に可愛いなぁ、サファイアは」

そう言って、サファイアの唇を人差し指で優しくなぞるルビー。
その紅の瞳は、慈しみで溢れていた。

「僕のことしか、考えれなくなった?」
「…っ」

ルビーの甘い囁きに、サファイアの体がビクリと跳ねる。
その姿がとても可愛くて、愛しくて。
ますます苛めたくなる。
可愛い反応を見たいが故に。
一方サファイアは、ルビーの腕の中で俯いた。
今自分の顔は、すごく真っ赤だろう。
だからこそ、見られたくない。
…でも。

「…そうとよ」
「 えっ? 」

サファイアはルビーを見つめ、凛とした声で言う。


「ルビーのことしか、考えてなかよ」


だって、本当のこと。
今のサファイアの頭の中は、ルビーで満たされている。
それを否定なんて、出来やしない。…いいや、出来ない。
ニコッと微笑み、ポスンとルビーに抱き着いた。
意地悪されるより、素直になった方がまだましかもしれない。

…一方、ルビーはというと―


「…反則だよ」


唯一の救いが、自分の赤面を見られずに済んだことだ。
今日のサファイアは、自分より余裕持っている気がする。
…それでも。

「嬉しいから、いっか」

サファイアから抱き着いているこの状況は、ほぼあり得ない。
彼女は恥ずかしがり屋さんで、こうやってくっつくことを恥ずかしがるから。
だからこれはすごく貴重なこと。
…だったら。


「可愛すぎるよ」
「ちょっ、くすぐったか」


充分にこの幸せな時間を過ごそう。


―ずっとこの幸せな時間が続いて欲しいと思いながら、ルビーはサファイアを膝の上に乗せ抱き締め、頬にキスを落とした。





*+*+*+



大人なサファちゃんを書きたくて妄想した末、これが浮かびました。ルビー君に抱き締められたりしても平気を装うサファちゃんを…!!((
しかし…想像以上にイチャこらさせちゃいました。…すみません(;>_<;)

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

(2013/6/26)








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -