違うけど同じ(グリブル)
ここはトキワジムのジムリーダー専用部屋。そこには、カントー最強と呼ばれるトキワジムリーダー―グリーンと、茶髪のロングヘアーの美人―ブルーがいた。
いつもなら例え恋人のブルーでもグリーンは仕事部屋に入れないが、今日は違うようで。
「お疲れ様。はい、コーヒー」
「あぁ、すまん」
ソファーにぐったりと倒れこんでいたグリーンに、ブルーはコーヒーが入っているマグカップを渡す。それを受け取る為、グリーンはゆっくりと起き上がる。
そんなグリーンを見て、ブルーは少し呆れた。
「あんたね…少しは休憩ぐらい取ればいいじゃない」
「ジムに挑戦しに来るトレーナーの為だ。これくらい平気だ」
「もう…またそうやって無理してる」
「無理してない」
「どうだか」
グリーンの隣に座って一緒にコーヒーを飲むブルーは、何もかもお見通しのような瞳をグリーンに向けた。
「終わって早々ソファーに寝転ぶ人が、無理してないですって?笑わせるわね」
「………」
「…まあ、今日の分はもう終わったんだし、ゆっくり休みなさい」
「…すまない」
「いいわよ」
ここまで弱ってるグリーンを、ブルーはあまり見たことない。
それだけ疲れてる証拠なのだろうと納得し、また一口コーヒーを飲む。
ブルーのはミルク入りで、グリーンはブラック。
疲れてる時にもブラックを飲むなんて…砂糖少しでも入れて糖分補給すればいいのにと思い、少しおかしくて笑った。
それが気に食わなかったらしく、グリーンの瞳がキリッと細くなり、ブルーを睨む。
「何がおかしい」
「別に〜」
もちろんブルーは「何のことかしら?」と有意義に微笑む。
その笑みは、男を落とせる程綺麗だったが、グリーンには一つもきかない。
さらに不機嫌になったグリーンは、気持ちを落ち着かせようと一口コーヒーを飲んだ。
―とそれと同時に、あることに気づく。
「このマグカップ、どうしたんだ」
「あら、やっと気づいたのね」
今まで気がつかなかったグリーンの言葉に、ブルーは呆れを通り越して笑った。
グリーンが言うマグカップとは、青色の花をモチーフとしたマグカップ。
今までこのマグカップを使ったことないグリーンにしては、疑問に思うのは当然だ。
だからこそ、なんであるのか?そう思考しながらブルーのマグカップを見ると…
「…お前が買ったんだな」
「正解。これ可愛かったから」
ようやく疑問に思っていたことが解決した。それはブルーが手にしているマグカップを見れば一目瞭然で。
ブルーが持っているマグカップは、緑色のクローバーをモチーフとしたマグカップ。
それとグリーンのそれはまるで、ペアカップで。
"離れていてもいつも一緒よ"と言ってる気がした。
「ペアカップか…」
「嫌だった?」
「別にそう言ってない」
「はいはい、そうですね」
相変わらず素直じゃないわね、と付け足してブルーはまたコーヒーを飲む。
まぁ確かに、自分は素直になれないかもしれないな、と思いグリーンもコーヒーを飲んだ。
「あっ、それと」
「?」
ブルーが何かを思い出したように声にする。
グリーンは何を言うか見当つかず、はてなマークを浮かべる。
「なんでこのペアカップにしたと思う?」
「知らんな」
「即行過ぎて笑えるわ」
フフッと笑うブルーに、グリーンは逆に顔をしかめた。
自分が思っていたこと以外に、何か理由があるのだろうか。
そう思考してる中、ブルーの明るい声が聞こえた。
「緑と青を英語で言うと?」
「 は? 」
「だ・か・ら!緑と青を英語ではなんて言う?」
よくわからない質問をされたが、グリーンは取り敢えず答えた。
「…緑はgreenで、青はblueだが」
「そうね。確かにそうだけど」
「…だけど?」
ブルーが考えていることがいまいち理解出来てないグリーンは、明らかに頭にはてなマークを浮かべる。
そんな様子のグリーンを見て、ブルーは笑った。
何故笑われたのかわからないグリーンは、自然に眉間にしわが寄る。
「…だから、何が言いたい」
「ごめんごめん、そんなに怒らないでよ。…グリーンが言ってるのは、日本語の意味なのよ」
「は?」
ますます意味がわからない。
どういうことだ?
「英語ではね、greenは青でblueは緑っていう意味なのよ。…なんかまるで」
そこでブルーは一区切りし、グリーンの緑色の瞳を見つめた。
いつもの余裕ある明るい表現ではなく、真剣だが優しい瞳で。
「アタシとグリーンみたいだなぁ…って…」
「………」
「…〜っ!!やっぱりグリーン忘れ…」
顔を真っ赤にしながらブルーはそう言葉を紡ごうとしたが、それは出来なかった。
―グリーンがブルーの唇を自分のそれと重ねていたから。
「?!グ、グリーン…っ」
彼からのキスはあまりないから、ブルーは戸惑った。
が、それを心地よく受けた。
しばらくして、唇が離れる。
そこには、顔を真っ赤にしたグリーンの顔。
「グリーン…?」
「…ブルー」
「な…なに?」
何を言うか見当つかないブルーは、グリーンの言葉を待つ。
そしてゆっくりと、グリーンの口が開いた。
「…可愛すぎだ」
「〜〜〜!!!」
もうこっちまで恥ずかしくなる。
ブルーの顔はさらに赤くなった。
あぁ、もう。
こんなにもあなたが"好き"という気持ちがさらに強くなる。
一つ言えるとすれば…
「好きよ、グリーン」
「…うるさい女だ」
―たまにはこうやって、素直になるのも、いいかもしれない。
*+*+*+
初!グリブルですっ。この二人すごく好きなのですが、書くのがとても難しい…しかし、やり遂げました!!悔いはありません(^ω^)
緑と青って、日本語と英語では意味が違うという話を聞いたことあるので、それを使ってみました。日本語では緑=green、青=blueですが…英語では緑=blue、青=greenということらしいです。言葉って、奥深いですよね〜。
ここまで読んで下さり、ありがとうございましたm(_ _)m
(2013/6/12)