頂きもの | ナノ
彼女はおやゆび姫!(pkmn夢/夢主とオールキャラ/キリリク/星奈様)


※親指姫パロです
※夢主が出ますので、アニポケ・ポケスぺではありません


―――むかーしむかし、そのまた昔のお話……というわけではないのだが



「はじめまして、親指姫ナマエ」
「……あのさ、ヒビキ君何やってんの?」
「何って、魔法使いコトネにお願いしたらお花の種をくれて、そこからナマエが生まれたんだけど」
「それ何て親指姫……うわ!?ちっちゃくなってる!?」
「正直むちゃくちゃ可愛くてやばい」
「元に戻してくれコトネちゃん!?」
「えー、これからは始まるのはオレとのナマエめくるめく新生活だよ?」



よろしくねー、なんて言って手を差し出してくるヒビキ君の手をすり抜けて植木鉢の下に潜り込む。うわ植木鉢上に上げないでくれ!
すかさず机の上に落ちていた土を拾って投げてみるも全然届かない。そしてヒビキ君の笑顔が怖い



「大丈夫!オレが責任持って大事に飼ってあげるから」
「不安しか感じない!」
「はいこれお風呂、今から入ってもいいんだよ?」
「入るか!冗談じゃないお邪魔しましたっ!」



笑顔でセクハラをかましてくるヒビキ君にはかまっていられない。
追いかけてくるヒビキ君の手をすり抜けて開放されていた窓の外へ飛び出す。



「ッ、水!?」
「ナマエっ!?」



飛び降りた先はゆるゆると流れる小さな水路。しかし今の私には恐ろしい程大きな川そのものである。
ぼしゃん、と体が水に沈む音とヒビキ君の本気の心配の声を耳にして意識を手放した。











「………あれ、ここは………?」
「やっと目が覚めましたか」
「くぁwせdrftgyふじこlp―――――ッ!?」
「命を助けたと言うのに失礼極まりないですね、あなたは」



そりゃ絶句するわ!目が覚めた私の前に居たのは、なんとアクロマさんだった。
何でプラズマ団の主格がここに!?
硬直する私をおかまいなしに、川で水浴びをしていたら流れてきたと説明する。
起き上がるとここは蓮の葉っぱの上。そういえば私親指姫ってヒビキ君に呼ばれたっけ。
なら……ヒビキ君が親指姫の母、その次だから確かヒキガエルの母。息子の花嫁を探してるんだっけ。
つまりアクロマさんはヒキガエルか!と認識した瞬間思わず噴いた



「ッ、ヒキガエル……!おなかいたい……!」
「今すぐこの下を泳いでいるバスラオの餌食にしてあげましょうか」
「すいません黙らせて頂きます申し訳ありませんでした」
「よろしい。――そうそう、これも何かの縁。なかなか良いタイミングでしたね」



丁重な謝罪に心を良くしたらしいアクロマさんはうんうんと頷いている。
それにしてもタイミングってなんだろう。――恐ろしい程に嫌な予感がする
軽く距離を開けつつ葉っぱのギリギリまで移動しておく。アクロマさんは絶対ドSだから警戒するに越したことはな、



「――実はゲーチス様が花嫁を探しておられましてね、せっかく助けたんですし嫁いでください」
「……………なん、だと?」
「ですからゲーチス様が婚活をしておりまして、貴方なら問題ないでしょう?」



大事な事だからと二回言ったなこのコイル厨科学者め
今から呼んで来ますからちょっと待っててくださいね?と真っ黒な笑顔を残して川に飛び込むアクロマさんを放心状態で見送った。


―――ゲーチスと結婚、だと?


あのゲーチスと?あの息子バカな?ごめんなさい年齢的とテーマ曲的に無理です



「う、うわああああ!?ちょ、嘘、やめて無理絶対嫌!」
「落ち着いてナマエちゃん!」
「だってゲーチスだよ!?何されるか分かんないよ!?」



エロ同人みたいに!と叫んだ後に気がついた。落ち着いてって言ったのは誰?
蓮の葉の下を覗き込む。……バスラオじゃない、バスラオじゃないぞ
小さな体躯に魚の尾ひれを持った、トウコちゃんとベルちゃんがそこにいた。



「ナマエちゃん大丈夫、私たちに任せて」
「ゲーチスと結婚なんてさせないわ、メイ!」
「トウコさーん、呼びました……ってナマエちゃん!」



空から蝶の羽根を背中に持ったメイちゃんも現れる。
状況を話すとメイちゃんも快く協力を申し出てくれた。
二人が蓮の葉のくきを噛みちぎってくれると、メイちゃんが草を編んだ紐を葉っぱにくくりつけてくれた。
そのままアクロマさんがゲーチスを連れて帰ってこないうちにメイちゃんに連れられて川を降り始める。
ゆるゆると流れる川を、下流へ、下流へ……あ、なんだか眠くなってきた
おひさまは暖かいし、流れて行く感覚も心地良い。
不意にふわりと浮かび上がる感覚。……あー、空飛んでるみたいで気持ちい、



「ナマエちゃんっ!こらキョウヘイ、ナマエちゃんを離しなさい!」
「えー、せっかくだからお持ち帰りさせてよメイ」
「うわあああああキョウヘイ君!?何してんの!?」
「何って抱きしめてるんだけど」
「そうじゃない!とっ、飛んでるから!降ろして!?」
「うーわ、高いとこ怖いの?そんなナマエも可愛いんだけど」



にこにこと抱きしめてくるキョウヘイ君に必死に訴えるも聞いてくれやしない。
そう、今私は――キョウヘイ君に抱きかかえられて空を飛んでいた。もしかして彼はコガネムシの役か!?
メイちゃんは蝶々だから飛ぶスピードではキョウヘイ君に敵わないらしい。そして眼下では私の乗っていた蓮の葉が流されていくのが見える。



「ごめんねメイ、じゃあね!」
「ひゃああああ!?」
「……まったく、キョウヘイったら……まぁいいか」
「よくない!助けてよメイちゃーん!?」





**





「こ、ここどこ……?」




あの後。
抵抗してなんとか逃れようとすると「落とすよ?」と脅されたので大人しくキョウヘイ君に連れていかれていたのだけど。
何やらいきなり現れたケンホロウに襲われてキョウヘイ君と別れ――気がつくとそこは森の中。
普段なら走るところだけれど。……いかんせん雑草でさえ上に伸びているものは自分より大きいものがある。
時間は既に夜。お腹も減ったし裸足だしでフラフラだ。



「い、いかん……そろそろ限界……って、明かり?」



そのまま倒れて寝てしまおうかと思った矢先、大きな木の根元から暖かな光が漏れてくるのが見えた。
残りの体力を振り絞って暖かな光を発している元へ走る。
そこにあったのは小さなドアと、それから小さな呼び鈴だった。迷わず呼び鈴を鳴らす


チリンチリン...


「はーい、こんな夜中にどちらさま……ナマエちゃん?」
「りっ、リーフちゃん!?どうしてここに!?」
「待って、話は後よ。どうしたの?ボロボロじゃない!」



何と現れたのはリーフちゃんだった。……ねずみのおばあさんはリーフちゃん、だと?
理解した瞬間私はリーフちゃんに抱きついた。もう大好きだ
よくわからないけれど、と言ってリーフちゃんは頭を撫でてくれた。





**





「お客さん?」
「そう、だから今日は部屋から出てきちゃ駄目よ?ナマエちゃんのためだからね?」
「リーフちゃんがそう言うなら……」



ここに来て一週間。リーフちゃんの作るご飯が美味しいのでお世話になっているのだが、今日は何やらお客さんが来るらしい。
何でもここのもっと下に住んでいるという事以外話してくれなかったけれどここの家主はリーフちゃん。素直に従い部屋で本を読んでいた。
暇だな、なんて思いながらお布団の上でごろごろと転がっていたその時だった。


――窓の外に、空から落ちてくる鳥の影


出るなと言われて居た事を忘れて窓から外に飛び出してしまう。
空から落ちてきたのは怪我を負ったスバメだった。
血を流している。―――助けないと!



家の中に駆け戻り、リーフちゃんとお客さんに気がつかれないように救急箱を持ち出した。
スバメの元に戻ると息が荒くなっている。あらん限りの知識を振り絞って止血をし、包帯を巻いていく。


――これでいいかな?



「大丈夫?」
「……ありがとう、ナマエちゃん……」
「よかった、―――ってえええ!?スバメが喋ったぁ!?」
「おっ、大声出しちゃだめ!あたしよ、ハルカ!」
「へ?……ハルカちゃん?」



目の前でスバメが光に包まれ、思わず目を瞑る。目を開けるとそこに居たのは怪我を負ったハルカちゃんが居た。



「ちょっとドジ踏んじゃった、手当してくれてありがとかも――痛ッ」
「そうだったんだ、……ってまだ動いちゃだめだよ!」



痛む腕を抑えるハルカちゃんを支えて私の部屋に案内しようとした、その時。



「ナマエちゃんっ!逃げて全力で逃げてええええ!」
「ええええ!?」
「なッ、……!?」



リーフちゃんの叫び声の後、私の部屋の窓から飛び出してきたのは――ワタルさん!?
まさかお客さんってワタルさんの事だったの!?って何このカオス、もしかしてこれ抱きつかれる?



「やっと見つけたぞ我がプリンセス!俺と結婚しよう!」
「どうしてそうなったあぁぁぁぁぁぁ!?」



全力で叫びながら横に飛ぶとなんとか抱きつき(突進)攻撃は免れた。
しかしイイ笑顔で起き上がってきて再びジリジリと距離を詰められる。
え、これなんてピンチですか?あ、ワタルさんもしかしてモグラのポジション……



「一週間前、君を見た時に一目惚れしてしまったんだ。――これは運命だと」
「どうしてそうなったんですか」
「だからナマエ、俺と結婚してくれ!よし結婚しよう!」
「会話させてください!」



これは逃げないとやばい、ワタルさん完全に何かのスイッチ入っちゃってる
しかしいつの間にか追い詰められていて背中には家の壁の感覚。
え、嘘キスされる―――?



「無理矢理なんてさせないわ!」
「なっ、なんだと!?」
「ナマエちゃん、こっち!」



後数センチという寸前で、リーフちゃんが背後からワタルさんを羽交い絞めにする。
戸惑うワタルさんが私から一瞬離れたスキを狙って、再びスバメに変身したハルカちゃんが私を背中に乗せて空に飛び立った。


何をする!と叫ぶワタルさんにリーフちゃんが子供か!と叫んでいるのが聞こえた。流石だと思う。





**





「――ハルカちゃん、私リーフちゃんのところに帰りたい」
「帰すかバーカ」
「そうだって。……じゃ、最期にお姫様は俺達のどっちを選ぶの?」



ハルカちゃんの背中に乗って数時間。辿りついた先はお花の溢れる場所だった。
ここに空ちゃんを待ってる人がいるの、と言われて案内されたらこれである。
目の前には王子の服装をした偉そうなグリーンとレッドさんがいた。
ふむ、もぐらから逃げるためにツバメに連れられた親指姫は妖精の国にたどり着いて……王子様と幸せに暮らすんだっけ



―――何で王子様は二人なんですか!?



「俺は最初ヒキガエル候補だったんだぜ?まぁ逃がさないように首輪つけるけど」
「だから配役変更されたんだよねグリーンは」
「うるせえ、お前のとこまで行かせるわけねーだろ」
「もう黙ってくれ二人共!」



頭を抱えるとごめんね!と言ってハルカちゃんが逃げた。うわ酷い!
残されたのは王子様(二人)と私だけ。



「―――えーと、その……?」
「まぁ三人でってのもいいかもね」
「おい待てそこ!待って!?」
「へぇ、レッドにしちゃ珍しい提案だな」
「いやちょっ、待ってってば!」
「「じゃ、いただきまーす」」
「きゃああああああああ―――――――――……………」




「おい起きろ!起きろナマエ!」
「――――あ?ぐ、グリーン……?」
「さっきからひたすら唸ってたけどどうしたんだお前」
「――――――――――ゆ、夢、かぁ………よかった」
「ったく、あんな大声で叫ぶってどんな夢だよ……」
「グリーンとレッドさんに……あ、ごめん聞かなかった事にして」
「は?俺とレッドの夢?ちょっと詳しく聞かせろよ」
「恥ずかしくて無理です!……ああ!?」
「へー、恥ずかしいんだ?そりゃ意地でも聞かないとな」
「えっ、ちょ、待ってグリーンさんやめてくださっ!?」



―――直後トキワジムには悲鳴が響き渡り、後日グリーンの頬は真っ赤に腫れていたという。



彼女はおやゆび姫!



(……あ、ナマエ久しぶり)
(れれれレッドさん!?)
(え、何?俺なんかしたっけ?)
(いやその乙女の防衛本能というか)
(よくわかんないけど何でフライパン…?)



*+*+*+


星奈様より、素敵な小説を頂きました!
私がリクエストした「夢主ちゃんで親指姫パロ」です。
いやーもぅ…星奈様が書かれる夢主ちゃんは本当に可愛い!!!///
本当にありがとうございました!
これからもよろしくね(^∀^)

(※この小説はお持ち帰り出来ません※)



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