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「おい、アカギ、アカギ」
「ん・・・何・・・」
「お前そのまま寝る気じゃないだろうな」
「それも悪くないな」
「悪いだろうが。どけ」
「・・・」
「なんだよ」
「余韻は?」
「はぁ?」
「俺、今、けっこう良い気分なんだけど」
「俺は早くお前のを抜いて欲しいよ」
「見た目通りの割にそういうとこは甘くないよね、アンタ」
「ん?」
「何でもない」

 それからゆっくりとアカギは南郷の背中に手を着いて身体を起こし、それと同時に南郷の中から自身を引き抜く。

「ふっ・・っ・・」

 その感触に南郷の背が震えた。漏れた声にアカギは喉を鳴らす。

「もう一回くらいシようか」
「殺す気か」
「・・・」

 容赦ない南郷の言葉にアカギは溜息を一つ。

「まぁいいけど。充分アンタを堪能できたし」
「やらしい言い方するなよ」
「俺のもんに出来た」
「っ・・・」

 少し赤くなった南郷は、ゆっくりと手を着いて起き上がろうとした、が、カクンと膝が折れて起き上がれない。

「あ、れ?」

 再度挑戦するも、やはり膝に力が入らない。

「・・・まさか」
「あらら」
「嘘だろ」
「やり過ぎたね」
「おいおい」

 初めての感覚に南郷は不覚にも肩を落とすのだった。
 しかも南郷の初めてはそれに留まらない。少し動いたせいか、中に放たれたアカギの精液がドロリと溢れ出したのだ。

「ひっ・・!」

 その感触に思わず南郷は甲高い声を上げる。

「どうしたの」
「いや、何か、変な感じが」
「・・・」
「尻の方で」
「かなり卑猥な状態になってるけど、言った方が良いかな」
「聞きたくないが、言ってみてくれ」
「俺がアンタん中に出したのが、漏れてきてる」
「っっっ!!」

 ブワッと南郷の顔が赤くなる。

「良い眺めだけどね」
「眺めるな!」
「いいじゃない、減るもんじゃなし」
「と、とにかく見るな!」
「じゃぁどうするのさ、それ」
「・・・」
「しょうがねぇな」

 アカギはちり紙を手繰り寄せれば、手にしたそれを南郷の尻に寄せていく。

「ま、待て待て待て!」
「ん?」
「何する気だ」
「拭くんだよ」
「い、いいっ!自分でやる!」
「動けるの?」
「動く!」

 そこは男、南郷。
 言ったらやる。
 と言うより、そんなものをアカギに処理されるぐらいなら死ぬ気で動いたほうがましだと言うのが本音である。何とか踏ん張れば手は動かせたようで、アカギからちり紙を奪い取り、必死に、だがかなりゆっくりと膝を立てていく。

「・・・これはこれで、俺には良い眺めだけど」
「見るな!あっち向いてろ!」

 南郷はさすがに声がやや枯れていて、それに気付いたアカギがニッと笑んだ。

「声」
「え」
「たくさん喘いでたからね」
「なっ・・・!」

 言われてようやく自分でも気付いたか、南郷はますます赤くなってしまう。

「き、聞くな!」
「無茶言わないでよ」
「いいから聞くなってば!あとあっち向け!」

 こうなってしまうとまるでただの駄々ッ子である。アカギはクックッと笑い、言われるままに顔を台所の方に向けた。
 それを確認してから南郷は何とか溢れ出てきたものを拭い、それを屑篭に放り投げる。だが痛みに軋む身体ではコントロールが効くわけもなく、屑篭に届くことなくちり紙はポトリと落ちた。さすがにそれはもうどうでも良くなったか、南郷はまたドサリとうつ伏せに身体を落とす。
 アカギはその音が聞こえて顔を戻すと、酷く憔悴している様子の南郷の背中を見詰めた。

「南郷さん」
「何だ」
「なかなか色っぽいね、アンタ」
「っ・・!」
「俺さ、ヤッた後にこんなに喋るの初めてだよ」
「・・・」

 完全に歳相応ではない台詞だが、少しだけその言葉が嬉しく思えてしまったのも南郷の正直なところだ。

「アカギ、お前、まだ動けるのか」
「まぁね」
「若さだな」
「かもね」
「布団が気持ち悪い」
「アンタのがベッタリだもの、しょうがないよ」
「・・・」
「南郷さん、身体、大丈夫?」
「大丈夫に見えるか」
「見えないね」
「じゃぁ聞くな」
「そうじゃなくてさ、痛いとことか、ない?」
「今は痛いより、眠い」
「そう」
「あと、なんか、まだ尻に何か入ってる気がする」
「確かに尻の孔、ちょっと広がったままだしね」
「っっ・・・見るな・・」
「はいはい」
「お前、華奢なくせに丈夫だな」
「若さだなってさっきアンタ言ったじゃない」

 そんな意味のない会話をしていれば少し身体は休まったか、南郷は四つん這い程度でなら動けるようになったようで、力が多少入るのを確認すればゆっくりと身体を起こす。

「大丈夫なの」
「あぁ」
「良かった」

 四つん這いの状態で辺りを見回せば、何とか下着だけ手繰り寄せて転がりながら身に着けた。アカギはそれを見て少し名残惜しそうだったが、真似するように下着だけ身に着ける。だがこちらは立ち上がって簡単に。
 その様子を口惜しそうに見ていた南郷だが、ふと包帯の状態に気付いてアカギを呼ぶ。

ヌクモリハカワラナイ

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