33


「じゃぁこのままで」

 さらりと吐かれた台詞に、南郷は重い瞼を瞬かせる。

「へ?」
「入れるから」
「おまっ・・!」

 その体勢のままでは位置的に入らないようで、アカギは膝ごと持ち上げようとするが、さすがに重いのか少し持ち上げたものの降ろしてしまう。

「やっぱダメか。南郷さん、うつ伏せになってよ、さっきみたいに」
「う、嘘だろ・・・」
「まさか」
「もう無理だっ」
「倍プッシュ」
「な、何が倍プッシュだ!この馬鹿!」

 アカギの言い回しに思わずグッタリだった身体にさえ力が入るか、南郷は上半身をガバッと起こす。
 だがそれも一瞬で、すぐに力は抜けてしまい、その隙を狙ってアカギは南郷の身体を反転させた。

「よっと」
「うおっ」

 抵抗する力があれば本来アカギに良いように動かされたりしないが、さすがに今はそんな力はない。
 その上、さきほど腰が持ち上げられなかったことを考えても、南郷の筋肉質な身体の重さはアカギに簡単に反転させられたりなどしないはずなのだが、思わず振り絞った南郷の力を上手いこと流されて、その方向を回転に行かされてしまったのだ。
 齢十三にして達人過ぎる男、アカギ。
 掻い潜ってきた死線は生半可ではない。
 気付けば南郷はうつ伏せで、先ほどのような尻を突き上げた状態になっている。腰が立たないはずなのに、折れた膝はしっかりと身体を支えてしまっていて、どうぞ入れてくださいと言わんばかりの体勢だ。

「あ、アカギ、俺、イッたばかりで・・・」
「だから良いんじゃない」
「え?」
「敏感なままでさ」

 尻にヌルリと熱い塊を感じた。ビクッと南郷の肩が震える。

「む、無理矢理は、ダメ、だぞ」
「無理矢理じゃないさ」
「だがっ」
「本当に嫌なら止めるよ、南郷さん」
「え・・・」
「アンタが本当に嫌なら何もしない」

 そんなことを言われては、断れるわけがない。アカギはずる賢いということを改めて思い知らされる。
 結局は南郷は、アカギの言うことを聞いてしまうのだ。だがそれは逆も然りで、アカギこそ南郷の言うことを聞いてしまうのだということを、南郷本人だけが知らない。

「もう、好きにしろ」
「そう来なくちゃ」

 背中の方から聞こえる小さな笑い声に、若さとは恐ろしい、と心底思う。アカギだって既に二度達しているのに。
 だが若いというより幼いに近い年齢であるということは、既に論外である。

「もう一回、イかせてあげるから」

 言いながら南郷の尻に熱い塊を宛がう。だが挿入する前にアカギは南郷の性器に手を伸ばした。触れただけで南郷の背筋は軽く震える。確かに、達したばかりでかなり敏感になっていた。それに合わせて尻の孔もヒクつき始める。指を咥えたまま達したせいか、一度広げらた孔は容易には閉じずにいるようだった。

「顔見えないし、声、聞かせてね、南郷さん」

 それに文句を言おうとした南郷は、だが実行することは出来なかった。
 アカギが腰を推し進めたからである。

「っっ・・・!」

 成長途中のアカギの性器は成人男性のよりは明らかに小さい。指を三本は銜えた南郷の後孔は思っているよりも簡単に受け入れることが出来るだろう。

「くっ・・っ・・」

 だがやはり、亀頭の部分を銜えるまでは圧迫がでかい。

「きつ・・」

 吐息と共にそう呟きながらも、アカギは止まらず押し進んだ。だが雁の部分を飲み込んでしまえば後はグッと一気に根元まで入っていく。

「あぁっ・・!」

 指よりも長さのあるそれは、先ほどとは比べものにならないほど奥へときて、思わず嬌声が漏れた。アカギはハァと熱い息を漏らして一度腰を止める。

「凄く、熱いよ、アンタの中」
「っ・・っ・ぅ・・」
「痛い?」

 そう問われて、南郷は正直に首を横に振る。
 そう、恐ろしいことに痛くはないのだ。むしろ妙な快感が背筋を走って、怖ささえ感じる。

「じゃぁ、動くよ」

 今度は南郷は首を縦に振った。アカギは途端に激しく腰を動かし始める。
 まだ十三のくせにどこで覚えてきたのか、アカギの腰使いはどうにも上手いように思えた。
 否、それは南郷の先入観である。確かにアカギは女相手であればそう思われても良い術を持っている。だが相手は南郷で、アカギに取っては初めて自分から求めた相手なのだ。
 そして十三だからこそ、必死で、夢中で、南郷を貪る。
 それに南郷はどうしようもなく感じてしまっているだけなのだ。

「いっ・・あぁっっ・・っ・・!」
「南郷さんっ・・っ・・」
「アカギ、ぃ・・・!」

 背中に感じるのは触れながら揺れる布の感触。恐らくは垂れ落ちている包帯。アカギが自分の背に被さっている証拠。南郷はその感触がたまらなく愛惜しく感じた。

「アカギっ・・あぁ!」
「っ・・!」

 声にならずとも感じる息遣いは互いに同じで、アカギは南郷の中を、南郷は己の中のアカギを、夢中になって貪った。
 突き上げられるたびに南郷は布団に胸が擦れ、痛いほどに立ち上がっていた乳首からも快感を得ていることに気付き、そんな自分の恥ずかしさにさえたまらなく感じた。

「はっ・・あぁ・・」

 指ではなく性器では、上手く南郷の善がる個所を突いてやれない。アカギは必死に腰を動かしながらも、ふと南郷の上半身の揺れに気付いてニッと笑む。グッと広い背中に圧し掛かって、南郷の性器に伸びかけていた手を胸と布団の間に差し入れた。

「ア、カギ・・?」
「南郷さん、ここ好きなんだね」

 言うと胸の突起を指先でキュッと摘んだ。

「うぁっ・・!」

 圧し掛かられたせいでさらに奥に性器は押し込まれ、さらには無意識に擦っていた乳首を弄られ、南郷は狂いそうになる自分を必死に抑えた。

「布団に擦ってたんだろ?やらしいな、アンタ」
「は、離せっ・・アカギっ・・」

 アカギは相変わらず腰を動かしながら、南郷の乳首を爪先で強く挟んだ。

「ひっ・・」

 喉の奥に声が張り付く。突かれるたびに、乳首の先端はシーツに擦れて、根元は爪で強く摘まれる。もう何がどうなっているのか分からない。快感だけが頭を埋めていった。

「あぁ、ほら・・っ・・ここ弄ると・っ・・中が、締まる・・っっ・・」
「あっ・・あぁっ・・あっ・・!」
「南郷、さんっ・・俺、もうっ・・」
「アカギぃ・っ・・!」
「中に、っ・・出す、よっ・・」
「待っ・・あぁっ・・・あっっ!」

 どちらが先か分からない。
 ほぼ同時に、二人は達した。アカギは南郷の中、随分と奥に精液を打ちつけ、南郷はシーツに白濁を零した。ビク、ビク、と南郷の中で強く脈打っていた性器は、ようやく射精を終えて、それと同時にアカギは南郷の背中に身体を落とす。

「っ・・っ・・・」

 南郷も果て終えたか、アカギの身体が被さってから少し遅れてクタリと布団に身を伏せた。酷く乱れた呼吸のままに、重なる胸と背中は一緒に上下する。

「死ぬ、ぞ、俺・・・」

 南郷は思わず荒い息の合間にそう呟く。それが聞こえたアカギもやはり荒い息を零しながら、だがクツクツと笑っているようだった。

「まぁ、今なら、俺、死んでも、いいかな」
「ば、か、言うな・・・」
「本気さ」
「俺は、嫌だぞ・・・」
「酷いな、南郷さん」

 暫くそのままで居れば二人とも多少は息が整ってきたが、南郷は酷く疲れていた。眠気に襲われる、が、尻にある異物感にはさすがに耐えられない。
 決して重くは無い背中の温もりの持ち主を揺する。

アマイコンダク

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