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「南郷さん、俺もう前は触ってないのに涎が垂れまくってるじゃない」
「え・・・」
気付けばアカギの手は性器から離れていたが、南郷のそこは後ろに指を二本も入れられていても勢いを失うどころかはち切れんばかりになっていた。
「こ、これはっ、違っ・・!」
「何が違うの?」
言いながらアカギの指は内側で例の箇所をトントンと叩く。
「やっ・・ぁぁ!やめっ・・・!」
小刻みに二本の指は抽出を繰り返し、その個所を指の腹で何度も押し上げた。
「やめ、ろっ・・アカギっ・・ダメ、だ・・っっ・・」
「何がダメなの?」
「またっ・・俺・っ・・あぁっ」
「またイきそうなの?南郷さん」
必死に頷く南郷の頬に、とうとう涙が流れた。
それは痛みでも悔しさでもなく、快感の涙だ。
アカギはその表情にたまらなく色香を感じたか、熱い吐息を零して手が止まる。
「あっ・・ア、カギ?」
「ヤバいな、俺」
「え?」
「触られてもいないのに、イきそうだ」
「なっ・・・」
ズルリと指を一気に引き抜けば、南郷の腹筋が小さく震えた。
「取っとくって言ったけど、今、口に出していい?」
「へ?」
聞いたものの、当然のように許可は待たずにアカギは南郷の顔の方に近付いていき、胸の辺りを跨いで膝立ちになった。
「ちょっ・・待っ・・・」
「口開けて、南郷さん」
荒い呼吸のまま興奮に少し朱色に染まったアカギの表情は、月明かりに照らされて酷く卑猥に見えた。
唇はいつにないほど赤く、女の陰部を思わせる。
南郷は何故か、言われるままにゆっくりと口を開いていた。
アカギは自分の性器を握り軽く扱けばいとも簡単に達してしまい、南郷の口に熱い白濁を放ったのだった。
「くっ・・・」
半分ほどは咥内へ、残りは唇と頬に散った。
瞬間的に目を細めた南郷は、だが、達する瞬間のアカギの顔を見詰めていて、その壮絶なまでの色気に喉を鳴らした。
乱れる呼吸に肩を上下させているアカギは、快感の笑みのままに南郷を見下ろす。
「良い顔だね、南郷さん」
「・・・」
その笑みさえも、南郷を酔わすには充分過ぎるほどだった。
咥内を流れて喉に落ちていくアカギの精液を、南郷は自然に飲み下し、喉仏を大きく上下させる。
「飲んじゃった、か」
「え・・・あっ」
気付いたときは既に遅く、咥内には何とも言えない苦味というか、青臭さというか、決してよろしいとは言えない味が広がっていた。
「っっ・・・」
「飲まなくても良かったのに」
「気付いたら飲んでたんだよっ」
南郷の言い草にアカギは思わず笑みを零す。
「へぇ、てっきり俺の精液飲みたかったのかとばかり」
「んなわけあるか!」
憎まれ口を叩きながら頬に散った精液を手の甲で拭う南郷に、アカギは楽しそうに笑った。
「すぐにアンタもイかせてあげるよ」
「え」
言うとアカギは跨いでいた南郷の胸から一度降り、また元の位置に戻った。
思わず南郷は膝を閉じたが、アカギは「はいはい」とあっさりとそれを開かせる。
力ではもちろん南郷の方が上なのだが、アカギの手が触れただけでその力が抜けてしまうのだ。
「あ、アカギぃ・・・」
「いいから」
アカギは南郷の性器を扱きながら、もう片方の手で再び肛門を解し始めた。
指二本はゆっくりとなら痛みなく挿入することが出来た。
「これくらいならもう苦しくない?」
「・・あ、あぁ・・・」
返事をするのが戸惑われたが、嘘はつけない。素直にそう頷いた。
そして先ほど見つけたあの個所を撫で上げれば、やはり性器を擦らずとも敏感に南郷は反応を示した。
「だ、だからっ・・そこはっ・・・へ、変な感じがっ・・・」
「変?気持ち良さそうだけど、ここは」
言いながら南郷の性器の先端を親指でグリグリと押し遣った。
「ひっ・・!」
ビクビクと腰が震える。思わず少し背を浮かしてアカギに手を伸ばした。
白い髪に手が届けば、クシャリとそれを握る。そのせいで包帯の止め具が外れたようで、ハラリと先端からしな垂れ落ちた。
アカギの頬を通って鎖骨の辺りに垂れる包帯の白さは、肌の白さと対比されて、アカギの肌が白くも今は微かに朱色に染まっていることを知らしめて、何故か艶やかに目に映った。
チラリとアカギの瞳が南郷に向けば、濡れた視線が絡み合う。
放たれる少年の色気に、南郷は眩暈がした。
思わず見惚れていた南郷にアカギはニッと笑み、そして呟く。
「もう一本、入れるよ?」
「え・・・待っ・・!」
もちろん待つことは無く、指を少し引いて、三本目と一緒に挿入していった。
さすがに少し狭くなったが、丁寧に解されていったおかげか切れることは無かった。
「くっ・・ぅ・・ア、カギっ・・苦しっ・・」
「ちょっと待って」
指を動かすのさえ困難なほどに締め付けられていたが、指先を動かして南郷の良いポイントを刺激すれば、途端に内壁はヒクついて動かせる程度にはなった。
「っ・・・!」
「感じやすいのかな南郷さんて。もうこんなに柔らかい」
「知、るかっ!」
「じゃぁ確かめようか」
「アカギ!」
途端に指を出し入れし始める。それだけでは南郷の身体は硬くなるばかりだが、性器を弄る手と、内部であの個所を擦り押すタイミングを合わせていけば、すぐに快感に甘い声が漏れ始めた。
悶える南郷の足先が、布団に皺を寄せていく。
徐々に性器を弄らずとも後ろだけである程度は感じるようになっていった。
「も、っ・・ダメだ、アカギっ・・・ちょっと、休ませ・っ・・」
「あぁそうだ、後ろだけでイけるかどうか試してみようか」
「はっ、ぁぁ?」
言うとアカギは南郷の性器から手を離し、挿入している指を激しく動かし始めた。
「待っ・・っ・・あぁ!」
出し入れするというよりも、上下に小刻みに震わすような動き。
的確に南郷の感じるあの場所を狙って、激しく責め立てた。
「ひっ・・いっ・・ぁぁっ・・!!」
どうしようもなく善がる南郷の様子に、アカギは喉を鳴らした。
上下する動きのせいか孔が瞬時に広がったり閉じたりを繰り返すため、グチュグチュと酷く卑猥な水音が響く。
「聞こえる?やらしい音。アンタの尻からだよ、これ」
「き、聞こえっ・・・てるっ、からっ・・やめっ・・あぁ!」
触れられるとどうしようもなく感じるあの場所を指で何度も押し上げられ、ガクガクと腰が揺れる。
止め処なく溢れる先走りが伝い落ちて、水音は増すばかり。
「ア、カギぃ・・っっ・・も、あぁっ・・!」
そして南郷は二度目の射精を促された。
大きく一度腰が跳ね、それと同時に性器から白濁が溢れる。
ビュ、ビュクッと精液を吐き出すたびに、アカギの指をギュゥッと締め付けた。
「あ・・っ・・あぁ・・っっ・・・」
生理的な涙がまた頬を伝う。
ようやく射精が止まれば、浮いていた腰がトサリと落ちた。乱れた呼吸と虚ろな瞳が宙を舞い、一瞬のトリップ状態。
「はぁっ・・はぁっ・・・」
ようやく力が抜けた後孔から、アカギはゆっくりと指を引き抜いていく。
伝っていた先走りのせいで、ツゥッと白い糸が伸びて、切れた。
「南郷さん、大丈夫?」
問われてもまだ答えることが出来ない。
呼吸が整わず、聞こえてはいるが、ゆっくりと頷くことしか出来なかった。
「指、食い千切られるかと思ったよ」
クックッと笑うアカギに虚ろなままの視線を向ければ、ゆっくりと少年は覆い被さってきて、南郷の顔を見下ろした。
「後ろだけで、イけたね」
アカギは南郷の頬を伝う涙を指で掬う。
「起きれる?」
「む、り・・・だ・・」
それを聞いたアカギは覆い被さっていた身体を起こして、ソッと南郷の膝の裏に手を差し込む。
ドロリトシタネツヲ