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狭い部屋に、荒い呼吸が二つ、響いている。
身体のあちこちを弄られた南郷は息も意識も上がっていて、既に一度達してさえいた。
「ほら、南郷さん、分かる?さっき出したばっかなのに、アンタのもうこんなになってるよ」
「い、言うな・・・」
男相手に勃つかどうか疑問であったが、そんなのはすぐに払拭された。
アカギは丁寧に愛撫をし始め、いつかのとは比べものにならないくらい濃いキスをされ、簡単に南郷のものは熱を持ったのだ。
それから乳首を弄られ、随分と焦らされた挙句に性器を扱かれた。
呆気なく達したのは、アカギが来てから自分で抜いていなかったからだと自分に言い訳をする南郷。
アカギは南郷の出したものを塗りたくるようにまた性器を緩く扱いた。
それだけで再び反応を見せる自分の身体に、南郷は涙さえ浮かぶ。
「俺のこと気にして、自分で弄ってなかったでしょ」
「そんなこと、は・・・」
「へぇ、俺が居たのに抜いてたの?」
「抜いてねぇよっ」
「だと思った」
それはアカギに取ってはしてやったりだった。溜まっていればこそ、これだけ簡単に反応してくれる。
既に二人とも裸になっていて、アカギの性器も硬くなっているのは見て分かった。
南郷のに比べればサイズは小さく、色も綺麗で、見るほどに南郷は罪悪感が増す。
だが何故かそれが、悦を誘った。
禁じられたことに快楽を覚えるのが、ギャンブルに一度は手を染めた者の性か。
「ねぇ南郷さん」
「な、んだ」
「口でされるのは嫌いかい」
「ばっ・・ダメだ!」
「どうして」
「き、汚い、だろうが」
「俺がそう思わなきゃいいじゃない」
どうせやるなら聞かないで欲しいと思うが、南郷は仕方なく頷いた。だがすぐにアカギをキッと睨めば、涙の溜まった眼で妙な条件を言い出す。
「俺にもやらせてくれるなら、いいぞ」
「・・・」
「俺もお前のを口でしてやる」
「本気?」
「当たり前だ」
抵抗なのか誘惑なのか、本人にさえ分かってないのだからアカギに分かるはずもない。
「いいよ」
そう言うとアカギは仰向けに転がって、南郷を見た。
「腰をこっちに向けて、俺を跨いで」
「なっ・・・」
ようやく自分の申し出たことの恥ずかしさに気付いた。
もちろん同時にと言う意味では無かったのだが、こうなってしまうと仕方ない。
身体は自然とアカギの言うことを聞いてしまう。
頭の位置を逆にして、アカギの顔を跨いだ。身体のサイズの違いのせいで、南郷は背を随分と丸めることになってしまうが、大して苦では無かった。
それよりもやはり、口でされることの恥ずかしさでどうにかなりそうであった。
「南郷さんの、凄い濡れてる」
「だから言うなってば!」
クックッと笑う声を聞きながら、南郷は目の前のアカギの性器に手を添える。
まるで嫌悪感は無い。そんな自分に驚きつつも、今更な感もした。
根元を軽く掌で包んで、先端を舌先で突付いてみる。
ピクリとアカギの腰が反応した。
「っ・・・」
吐息が漏れたのが分かると、南郷は少しだけ気分が良くなった。
先端部分を口に含めば、アカギの南郷への愛撫が完全に止まり、何かに耐えるように口を噤んでしまう。
慣れない妙な味が咥内に広がったが、そんなのは気にならなかった。
アカギの反応にたまらなく興奮している自分に気付く。
「ちょっ・・・南郷さっ・・待っ・・」
よく考えればアカギだって散々焦らされていたのだから、限界が近くてもおかしくない。
南郷は咥内で舌を動かし、軽く吸い上げた。ビクビクと震えるアカギの腹筋と性器に、喉を鳴らす。
自分の気持ち良いところを考えれば、快感を促すことは思ったよりも簡単であった。
「っっ・・・南郷さん、っ・・・離しっ・・・出る、からっ・・」
俺も一度出してるんだからお前も出せばいい、と言葉にしたかったが、それよりもアカギの性器に刺激を与えることに夢中で、頭の中を巡ったその台詞は口には出なかった。
「っっ・・・!!」
一瞬の呻きと、震え。
南郷は驚きに口を離したが、次の瞬間に熱い白濁が顔に放たれた。
短い痙攣の後、アカギは荒い呼吸を繰り返しつつ、何も言わない南郷の顔を覗いた。
「あらら・・」
思わず南郷の下から抜け出て、呆けているその顔を横から覗く。
「顔に出しちゃったね、大丈夫?」
「・・・あ、あぁ。驚いた、だけだ」
「そう」
まさか自分が顔射される日が来ようとは、当然ながら思ってもいなかったわけで。
「南郷さん、かなりやらしい光景だよ」
「なっ・・!」
慌てて南郷は起き上がり、ちり紙を取って顔を拭った。
「今度は口の中に出したいね」
「させないからな」
「今はね」
取っておくよとアカギはニッと笑った。
そんなアカギを見て南郷はドキリとはしたが、とりあえずこれで終わりかと安堵しながら立ち上がろうとした。
だがアカギはそれを止める。
「あ、そのまま」
「え?」
「そのまま前に手を着いて」
「・・・こう、か?」
南郷は四つん這いの格好にされる。
するとアカギは南郷の後ろに回り、腰の横から手を差し入れて、まだしっかりと勃っていた南郷の性器に触れた。
「っ・・・あ、アカギ、俺はもう良いって」
「俺が良くない」
「え?」
グチュグチュと音を立てて扱けば、南郷の腰が軽く震えた。
砕けそうになった膝を、だが、アカギはキュッと性器の根元を握って力を入れることを促す。
一気に扱かれた性器からは再び先走りが溢れ、それに濡れた手を性器から離すと、アカギは南郷の尻の孔に触れたのだ。
「っっ・・・アカギ、お前、まさか」
「何」
「あー、えっと、その指を、どうする気だ?」
「ここに入れる」
言って、濡れた中指がクッと軽く肛門の膨らみを押した。
南郷はビクッと思い切り肩を跳ねさせる。
「お、おま、そういうの、し、知って・・・」
「俺聞いたじゃない。抱かれるより抱く方が良いかって」
そうだった。
確かに聞かれた。
する方される方を聞くってことは、それは当然役割分担があるということで、それはつまりどこに何をするのか知っているということ。
南郷はほとほと自分の考えの甘さを悔いた。
ヌルクモアツイ