ここ最近ジョナサン様が連れていらっしゃるスピードワゴンというあの方は、一体どちらの方なのでしょうか。私は心配でなりません。身なりはそこそこ御綺麗でいらっしゃいますがお言葉使いが荒々しくていらっしゃいますし、ジョナサン様が影響をお受けしないかとても、とても心配です。エリナ様までスピードワゴンさんに懐かれてしまったようで、私めとしては一切を掻っ攫われてしまったような複雑な気分であるわけでございます。ですが今日も今日とて、あの焦げ茶色の帽子を脱いで、スピードワゴンさんは私に深々とお辞儀をなさいました。

「どうも、ナマエさん!今日もお元気そーで」
「いえ、スピードワゴンさん、あなたこそ」
どうにもスピードワゴンさんとは話が弾みません。といいますよりは、弾んではいるのですが、スピードワゴンさんのワンマンプレーですので、私はゴール下にぽつんと立ってスピードワゴンさんがドリブルしてこちらまでいらっしゃるのをひたすら待つといった感じでございます。それで、
「そうなんですのね。やっぱりスピードワゴンさんは凄いですわ」
とシュートを打つわけです。
「いやあ、んなこたあねーよ!」
たいてい決まります上に、ほとんどがスリーポイントでありますようで、スピードワゴンさんはたいへん喜んで下さいます。ジョナサン様のお友達でいらっしゃいますからお話は真面目にお聞きしなければいけないのですが、ついついうとうとしてしまうのが人間の性というものです。
「あれ?ナマエさん?眠いのかい?」
「え?あ」
気が付きましたらスピードワゴンさんが私の顔を覗きこんでいらっしゃいました。いえまさか、とお返事はさせていただきましたがスピードワゴンさんはううむと唸ります。
「いや、悪かったな。オレの話ばっかだったからな。そりゃあー眠いよなあ?」
「ああいえそんな、とってもたのし……ふあ……」
「やっぱ眠いんじゃねえか!」
豪快にお笑いになったスピードワゴンさんを相手になんとなくばつの悪い私は紅茶を少し啜ります。カフェインでしたか、眠気を覚ましてくれるのは。滲んだ視界をごしごしこすろうともカフェインを摂取しようともやっぱり睡魔は私を逃がしてはくれません。
「んじゃ、寝ろよ。オレぁジョースターの旦那とおしゃべりしてくらあ」
「あ、いえそんな」
「じゃーな!今度はあんたの話きかしてくれよ!」
「あ、お待ちになっ」
ばたん!とテラスの戸を閉めて、ばたばたとスピードワゴンさんは行ってしまわれました。一人残された私はどうすれば良いのでしょう。……とりあえず、スピードワゴンさんの言い付けの通り寝かせていただくことにいたしましょうか。使用人の分際で、という気持ちはありましたが、ご主人様に叱られるようなことがありましたらスピードワゴンさんに罪をなすりつけることにいたします。

20090616

楽しいです


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