ナランチャと一緒に考えた結果(一人で考えられなくてごめんねアバッキオ)、わたしは『相談室』を設置することにした。場所はボスの部屋の向かい、キッチンつきのなかなか良い個室だ。窓は北向きだけれど、ジョルノが代わりにと倉庫にあった立派なシャンデリアをくれた。窓を開けるとガラスが擦れて綺麗な音が鳴るし、雨の日の昼間はこれを点けると街のバールみたいに柔らかい空気になるので、わたしはとても気に入っている。

「ねえ、ほんとにいいのか?アバッキオには言ってないんだろ」
「うーん、いいんじゃないかな。ブチャラティはいいって言ってるし」
「いいっていうか……」

 フーゴは何か言いたそうにして、わたしをちらっと上目で見てから、やめた。フーゴは優しいのだ。

「でもナマエ、ぼくからも忠告しておく。何かあったらすぐジョルノを呼ぶんだ。いくら平和だからってまともなやつがここに来るわけがない」
「うん、大丈夫!叫べばいいんでしょ」
「そう。ぼくも他に任務の無い日はここにいるから」
「いいけど、守秘義務だよ」
「はいはい」

 相談者のヒミツは守るのが、相談役であるわたしの絶対的な信条である。というかこれもナランチャと一緒に決めた。港で横になる野良猫の背中を撫でながら、二人で決めたのだ。

「じゃあ、フーゴ!フーゴがお客さん第一号!」
「えっ」

 カウンセラー用の大きな椅子に腰掛けて、戸惑うフーゴを急かす。赤いスウェード張りのソファをすすめても、フーゴはどうやら渋っているようだった。

「ぼ、ぼくは悩みなんか無い」
「あっなんかって言った」
「なんかっていうかだから……無いんだよ」
「チラシに得意分野は恋愛相談ですって書くから練習させてよォ」
「れっ恋愛なんかしてない!」
「またァ〜」
「してない!」

 ほっぺを真っ赤にしたフーゴは何かぶつぶつ言いながらキッチンの戸棚を開けに行ってしまった。そんなに照れなくてもいいじゃん。今度もっとちゃんと聞き出してやろうと決心し、手始めにフーゴの挙動を観察していると、茶葉の入った袋を出しては入れてを無意味に繰り返していた。かわいいやつだ。

2011/05/25

 



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