ここのところうちの息子に落ち着きが無いのだ。いつも落ち着いてるかと言えばそうではないのだけど、動揺がカオに出やすいバカに素直なうちの息子は、明らかに挙動不審だった。かと思えば急に遠くを見つめてみたり、まるで王子様待ちのお姫様。ここまで考えてから、噴き出すと同時にモヤモヤしたので、もう、ストレートに聞くことにした。



「女?」
 仗助は案の定むせた。女ね。なるほど。
「な、なんだっつーのよ、急にィ!」
「せ〜しゅ〜〜ん」
「デリカシーってやつががねえんだよお袋は……」
「んなもんとっくに置いてきたわよ過去に。男なんだからもっと堂々としな、女々しんだから、男のくせに」
「……そんなの……あんたにゃ関係ねえだろうがよォ」
「おかーさんにあんたって言わない」
「へーへーおかーさん」
 生意気に口をひん曲げて言った仗助は父親そっくり。このドラ息子がいつかカワイイお嫁さんもらって家庭を持つ姿なんてソーゾーできないのよね。こいつ、いつまでこの髪形してるつもりなのかしら。嫁とのケンカの原因がリーゼントなんて………………面白い。それをわたしが仲裁する。判決、仗助にリーゼントをやめさせる。そんな生活ってぜんぜん悪くない。
「仗助、あんた結婚するまでその髪形続けなさいよ」
「はあ?結婚してもやめねェーよ」
 今笑うと盛大にキレられそうだから必死に頬を固めると仗助はムッとして顔を逸らしたけど、結局わたしはまた噴き出した。


20091012


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