あのアホの仗助に好きな人ができたっていうもんだからわたしは康一くんに紹介してもらうことにした。
別に仗助に興味があるんじゃあない。わたしの興味はいっつも康一くんにあるもの。ただ、あの友情バカがどんな女の子に惚れるのか、ほんの少し気になっただけ。ただの好奇心。

康一くんとドゥ・マゴで待っていると、来たよ、と康一くんが囁いた。そのくらい、ずっとあなたのこと見てたんだから分かるわ。名残惜しく思いながら康一くんの視線を追って女の子を探した。
……『女の子』ってよりは『女の人』だった。それにあの人、見た事ある。うちの学校の先生じゃないの。バカの億泰のクラスの担任だわ。
「ごめんね。もう来てたんだ」
「あ、気にしないでください。でも……その」
「ん?」
康一くんの言わんとしてることは簡単に分かる。
先生の隣にムサい顔して立ってるのはあの岸辺露伴だった。目が合うとすぐに逸らされた。相変わらずうざったい男。わたしは岸辺を無視して先生を見ることにした。
「つまり康一くん……君は、『どうして苗字だけ呼んだのに露伴がついて来てんだ』って事を言いたいんだろ。それくらい僕にも分かる」
「い、いや、そんな言い方じゃあ……」
「じゃあ康一くん、デートの邪魔してごめんね。山岸さん、こんにちは」
「こんにちは」
「おい名前!まだ話は終わってない!」
「露伴先生、とりあえず座ってください。あとそんなに大きな声出したら目立ちますよ」
「はっ、じろじろ見る方が悪いんだ。他人のこと気にするより先にそのアホ面をどうにかしたほうが良いんじゃあないのか?え?」
「露伴先生!」
焦って岸辺露伴の腕を掴んだのは康一くんだ。周りのお客が気まずそうに目を見合わせる。苗字先生はといえば慣れた様子で店員を呼び付けていた。
まったく、と呟きながら岸辺露伴が苗字先生の隣に座る。店員が顔色を窺いながら注文を受けに来た。
「私は紅茶で。露伴先生はなんにします?」
「いちいち聞くなよ。何回僕と一緒にお茶してるんだ」
「お冷やください」
「違うッ!ブラックだ!」
「あれ?」
康一くんが呆れたように笑う。康一くんの耳元に口を寄せて『面白いわね』と囁くと、何も言わずに頷いた。


20090819


露伴先生の機嫌が悪いのは多分二人でお茶する予定が潰れたから


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -