苗字先生と歩いてたら、サイアクにもアイツに出会った。あいつだあいつ、いっつもリボンヒラヒラさせてバイク乗り回してカッコつけてるあいつ。彫刻のことはよくしらねーけどアレより美しいとは認めたくねェよなァ、って顔のあいつ。自分の体で苗字先生を隠してさっさといなくなろうとするより先に、あいつは匂いでオレたちに気付きやがった。
「仗助じゃねえか。そこにいんの誰だ?女だよな?」
片手で顔を覆って、噴上に背中を向けたままうなだれるオレを苗字先生は見上げてから、ひょいと後ろを覗いた。
「お、やっぱな。なんだよ仗助、スミにおけねーな」
「こんにちは。苗字です。仗助くんのお友達?」
「そうそうお友達だよ。あんた彼女か?」
「あはは。違うよ。先生」
「センセー!?あんたセンセーかよッ!おいおいおいおいィ〜〜やるなァオメーッ」
「なんもやってねェーよ……」
「センセー、あんたいい匂いすんな」
「え?」
俺の呟きを無視して、噴上は低い位置にある先生の頭に鼻先を近付けた。思わず出そうになったスタンドをなんとか引っ込める。呑気に頭を嗅がれっぱなしの先生の腕を引っ張って、危ないワンコからどけた。
「噴上ィ……いくら温厚なオレでもよォ〜〜……」
「あ、おい。怒んなよ。ちょっとした挨拶だよ」
「噴上くんていうんだ」
「そっスよ。どこまでいったんスか?」
「噴上ィ!」
拳を振り上げても、噴上はけらけら笑って意に介さない。ちらっと苗字先生の顔を見る。どうやら意味は分かってないらしい、きょとんとしてオレと噴上を見比べていた。つくづくバカで……じゃねえや、天然で良かった。

20090819

HSわからなーい


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