ホルホースさんがお帰りになりました。私の顔を見るなり疲れ切った顔を固くしてこちらへ早足で近付いていらっしゃいます。デーボさんの……お殴りになった時の口元の血をまだ拭っていないのを思い出しました。ウエスタンブーツがかちかち鳴っています。

「おいナマエさん!あんたその血ぃどうしたんだ!」
「いえ」
「頬も服も血だらけじゃあねえか……DIO……様がやったのか?」
「治りましたのでご心配なさらないで下さい」
「そういうわけにゃいかねえよ」
ホルホースさんはフェミニストなのでしょうか。そっと私の頬に大きな手で触れました。
……こういうのにはあまり、慣れていません。DIO様は別ですが。手を振り払ってホルホースさんに背を向けますと、今度は肩を掴まれました。
「待ちな、誰にやられたんだ。俺が『皇帝』でブッ飛ばしてやるからよ、ホラ、遠慮しねえで言えって」
「自分でやりました」
「…………」
「着替えますので。離していただけますか」

ぐいっと肩が引っ張られ、よろけた右足がホルホースさんの足を踏んでしまったのを気にして力を抜くとその間に長い腕に包まれてしまいました。こんなに柔らかく扱われたのはいつぶりでしょうか。思わず腕を掴んで背負って、気が付いた時には埃が舞い上がっていました。

「……あ」
「〜〜〜〜ッ」
「……申し訳ないです」
ホルホースさんがのたうちまわって背中を押さえながら苦しそうに笑顔を繕うものですから、私はつい笑ってしまいました。



「(……ますますほっとけねえなあ、おい……いって……)」

20090701



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