シーザーったら、また今日も女の子にちょっかいかけてんのね。私もう見飽きたわ。ママにやめさせてって言ってもほっときなさいって言われるし、ジョセフは論外。イタリア人てみんなああなのかしら?甚だ疑問だわ。ほら私のところへもこうやって寄ってきて、筋肉質な腕で肩を抱く。まあそれを振り払わない私も私なんだけれど、別に私はビッチじゃあない。お付き合いしてる男の人たちとはとってもピュアな関係を保ってンのよ、わかる?
「なあ、ナマエ、ほら、あの星。見えるか?北極星」
「目ついてんだから見えるわよ、シーザー」
「あの星を俺たちの誓いの証人にしよう」
「それあなた昨日の晩も別の子に言ってたわね」
「あれは君に言う為の練習だ」
しれっと言うシーザーに、つい噴き出す。こうさらさらと言い訳が出て来るとマジっぽくて困る。シーザーは軟派だけれど紳士だしカッコ良いし、波紋だって私ほどじゃないけれど上手だ。むっとした顔のシーザーを見ないようにしながら空を見上げて北極星を熱心に観察するふりをした。
「まあいい、ほら、誓いだ、誓い」
「なによォーそれ」
「良いからほら、手出せよ」
私が一瞬ためらってからひょいと出した手をぎゅっと握って、シーザーは目を閉じた。
「えーっと、そうだな……まず……ナマエが危ないめに遭いそうになったら、助ける」
「へえ」
「で、一生離れない」
「ふうん」
「ナマエは無いのか?」
「無ーい」
また、シーザーはむっとした。それを横目で見てまた笑った私に、ますます機嫌を損ねたらしい。
「はいはい分かったわよ、ようはお願いごとね」
「……もういい」
「そうねえー」
シーザーが手を振り払おうとするのになんとかしがみついた手がだんだん冷えてきた。なんてったって今夜は寒いのだ。
「シーザーがもう他の女の子に声をかけませんように、かな」
「………………それ本当に思ってるのか?」
「思ってるような思ってないような」
したり顔で曖昧に答えるとシーザーはますます機嫌を損ね、と思いきやガキみたいににっこり笑って私をぎゅっと抱きしめた。形式上嫌がってる私も、まんざらじゃあない。

20060617

シーザーって結構子供っぽくなかったでしたっけ



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