「ありがとうございましたー」



店員のお決まりの挨拶をバックに、私は店を出た

手には食材の詰まったスーパーの袋を2つ提げているためか、なかなか思うように歩が進まない

…特売だからって色々買い込みすぎたかも。帰りのことをもう少し考えておけば良かった…


ゴーン―…


「…もう6時かぁ」



近くのお寺の鐘の音を聞きつつ、沈みかける夕陽を眺めた

…いつもなら既に夕飯の支度に取り掛かってる時間なんだけど。

今日はあの人、万事屋さんに行くとか言ってたから…もしかしてどこかで食べてくるつもりなんじゃないかな

どうしよ、一人分だけ作ればいいかな

いつもこの辺の判断が難しいんだよね…、なんて考えながら近くの角を曲がった折、突然大きな影が目の前にぬっと現れた



「きゃ…」

「!」



ぶつかり倒れる寸前、私はその大きな影にガシリと身体を支えられた



「す、すまない。先を急いでいたものでつい…って何だ、お前か」

「!か、桂さん!」



何て偶然だろう。ちょうど頭を悩ませていた人物が目の前にいるなんて

よし。夕飯についてでも聞いておこうと口を開いた瞬間、後ろからドタドタという大きな足音が聞こえた

振り返ればそこには、真っ黒な服を身に纏った何人もの男達の姿が…



「あ、あれ?桂さん、もしかして…」

「あぁ、しっかり捕まっていろよ」

「見つけたぞ桂ァァァァ!!」



ふわりと身体が浮き、目の前にある桂さんの顔がぐっとさらに近くなる

…どうやら私を抱えたまま、真選組(やつら)から逃げるつもりらしい



「あの…桂さん、まさか今日はずっと真選組(あれ)と鬼ごっこしてた感じですか?」

「あぁ、おかげで銀時のところには行けずじまいだ。…お前は見たところによると、買い物帰りのようだな。今日は何か祝い事でもあるのか?」

「?ないですよ。何でですか?」

「いや、あまりに量が多いと思ってな」

「あ、特売だったんですよ特売。おかげでこんなにいーっぱい買っちゃいました」

「ハハハ、そうだったか。して今日の夕食は何だ?」

「カレーライスです」

「ふむ、カレーライスか…」

「…やめたほうがいいですか?」

「いや、カレーは暫し食べていなかったのでな。とても楽しみだ。お前が作ったカレーライスは特に美味しいからな」

「ヨーグルト入れるのがポイントなんですよー」

「何!?ヨ、ヨーグルトだと?そ、それは知らなんだ…そんな組み合わせがあったとは…」

「ふふ、家に帰ったら詳しく教えてあげますよ。他にも秘密があるんで」

「そうか、ではさっさと家(うち)に帰るとするか」

「―…って帰らせるかァァァァ!!」

「お前ら今の状況分かってんのォォ!!?」

「イチャイチャしてんじゃねーぞ!!何か腹立つんだろーがコノヤロー!!」


我ら自由人なり


−−−−−−
…何か色々ごめんなさい。.