膝枕の利点



「…ねぇ、翼」
「ぬぬ?どうしたのだ夢?」
「あのさ…もうこれ止めない?足がめっちゃ痛いんだけど」

足が痛いのもそのはず。何故ならば私は今、天羽翼くんを既に一時間も膝枕しているのだから。…もうね、先ほどから足が痺れ過ぎて感覚もないのですよ。本当辛い

「うぬぬ、でも夢の膝は柔らかくて気持ち良いから離れがたいのだ〜…」
「!わ、ちょっと翼…」

私の膝の上で仰向けに寝転がっていた翼は何を思ったのか、いきなりくるっと向きを私の方に変え、長い腕を回して私の腰にぎゅっと抱きつき、すりよってきた。!?こ、この男は急に一体何をしてきて…

「ぬ?夢…顔がタコみたいに真っ赤だぞ?」
「う、うううるさいなっ!翼はもう早く退いてよ!こっちは足が痛いんだから!」
「え〜…じゃあ、夢が俺を笑わせたら退いてあげる」
「は?」
「俺はまだ夢にぎゅってしてたいんだけど…君がそんなに言うんなら、俺を笑わせて?そしたらどく」
「……」

笑わせたらって…一発ギャグ的なのを言えってこと?翼もそんなに笑いに飢えてるなら、ガキ使の”絶対笑ってはいけない警察24時“のDVDを借りれば…って違うか。うーん。笑わせろ、か。さてどうしよう…。頭をフル回転させ一発ギャグ的なものを暫く考えていれば、翼が楽しそうにこっちをじーっと見てることに気付いた。それも、さっきよりうんと近い距離で

「!ちょっ、翼ちか…」
「色っぽい」
「へ?」
「そうやって悩んでる時の夢の顔、なんかすごく色っぽいのだ」
「!」

笑顔でそんな言葉を紡ぐ翼に、「ば、バカ何言って…」としどろもどろになって言い返した瞬間、翼は「ぬはっ!もういいや、やっぱり膝枕おしまいでっ!」なんて言って、今度は私に正面からガバッと抱きついてきた。(相変わらずのマイペースぶりである)

「ぬ〜…夢」
「な、なに?」
「膝枕してもらっててなんだけど…足、やっぱり痛いか?」
「へ?あー…いや大丈夫。気にしないで」
「本当に?」
「本当に」

だって今は足の痛みなんか気にしてらんないぐらい、私の心臓はドキドキしてるのだから。…早くこの真っ赤な顔をどうにかしないと、また翼にからかわれるんだろうなぁ。なんて

「…翼ってそういえば、いつも膝枕してくれってせがむよね。膝枕されんのって、そんなに気持ち良いの?」
「うぬ、気持ち良いぞ!今度夢にもしてあげるのだっ」
「え…マジでか。ありがとう」
「でも、気持ち良いこと以外に膝枕にはもう1つメリットがあるのだ!」
「は?メリット?」

何だそりゃ。翼に抱きしめられたまま、はてと首を傾げていると、翼は急にパッと身体を離し、私の頬をその大きな両手で包み込んできた

「…膝枕してもらえば、君の色んな表情を一番近くで見えるから」
「!」
「こうやって正面から向き合うと、夢はいつも真っ赤な顔ばっかしてるからなっ。膝枕してもらったまま、ころころ変わる君の顔を眺めるのが一番楽しいのだ!」


ねぇ、気付いてる?


(「君の膝は俺だけの特等席だぞ?」なんて耳元で囁かれれば、私としてはますます顔を染めるしかないことに)


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銀魂でも薄桜鬼でもあからさまに甘えてくるキャラはいないからなぁ…書いてて楽しいですはい


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