女心…?



「…ん?皆どうしたんだ?揃って中庭なんかに来て」
「あ、左之さん!ちょうど良かった。あれ何とかしてよ」
「?」

そう何やら困った顔をした平助が指差した先には、昔から新撰組屯所にたつ大きな木があった。が…ただ皆、木を見ているわけではない。そう、その木の枝には何故か1人の女が座っていたのだ

「…オイ、こりゃどういうことだ」
「あの木にどこまで高く登れるか、夢と総司で賭けをした結果、下りれなくなったらしい」
「あはは酷いな、一くん。その言い方じゃ僕が悪いみたいじゃない?」
「俺は事実を言っているだけだ」
「……」

はあ…相変わらず馬鹿なことやってるなぁ夢は。負けず嫌いな性を総司にからかわれるなんて、いつものことだがよ…

「…仕方ねーなァ。オイ夢、下で俺が抱き止めてやるから降りてこいよ」
「嫌だ」
「は?」

「お前…ずっとそこにいたいのか?」なんて聞けば、涙ながらに「そ、それも嫌!」と叫ばれた。?じゃあどうしろと…。首を傾げる俺の隣で平助がはぁ、と軽くため息をつく

「夢ー、そこから降りたいなら仕方ないじゃん。もう体重なんかどうでも」
「?体重?」
「そうだよ。…大体、僕達は男だよ?女の子の君1人くらい抱き止められるさ」
「いや絶対そんなことない!君たちみたいな細い面々には絶対無理!」

「平助はチビだし、一くんは華奢だし、っていうか総司には貸しを絶対つくりたくないし!」とか夢は木の上から大きな声を出す。どれも正直大した理由じゃないが、言われた本人達は「チ、チビ…」やら「華奢…だと…?」やら何故か傷付いている様子だ。…つーか体重が重いって?あんなに細っこい身体で何言ってんだアイツ

「最近は団子の食べ過ぎで太ったんですぅぅ!」
「うぉっ、お前人の心読むなよ」
「もういいから誰か新八っあん連れてきて!お願い!」
「……何でそこで新八の名前が出てくんだよ?」
「だって新八っあんなら左之達とかよりは筋肉質だし、きっと受け止めてくれるはずだもん!」
「……」

その言葉にカチーンときた俺は木へおもむろに近付き、下から真っ直ぐな視線を夢に向けた

「…夢、そこから飛び降りろ」
「!だ、だから無理だよ!私の体重じゃ、受け止めた左之の骨がバキバキに…」
「大丈夫だ」
「?左之…?」
「俺を信じられねーか?夢」

バッと両手を広げた俺に夢は少し躊躇した様子だったが、「………い、行くよ左之?本当に行くからね骨折しても知らないからね」とじりっと枝の上で立ち上がった。そして、

ボスっ
「っ…」
「…んだよ。やっぱ全然重くねーじゃねーか」

むしろ軽すぎるくらいだ。「お前はむしろもっと太ったほうがいいんじゃねーか?」なんて笑って、その小さな身体をぎゅっと抱き締めてやれば、「ちょっ、皆がいるんだからさ…」と改めて釘を刺された。(そこは顔を赤らめるとか、色々空気を読んでほしい)

「はあ…でもやっぱり筋肉質じゃない男の腕力なめたらあかんね本当。さっきの訂正するわ私」
「…その誤解ついでにもうひとつ、お前は認識を改めたほうがいいと思うぜ?」
「へ?な、何を?」

首をこてりと傾げ聞き返す夢に、俺は薄く笑みを浮かべたまま夢の耳元にボソッと囁いた

「…お前が頼るべきはいつだってこの俺だってことだ」
「!さ、左之…」
「次にお前が他の男に助けなんか求めちまったら…きっと俺、妬いちゃうからな?」



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周りを忘れてそのままラブラブしてればいいよ!


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