おまけだよ



「夢ー!」
「!?」

急に誰かの雄叫び声が聞こえてきたかと思うと、突然私の背中に何かがのしかかってきた。当然私はその強い衝撃に堪えられず、そのまま床に倒れてしまうわけで

「っ…ちょ、翼!いきなり何すんの!」
「ぬわわ、ごめんごめん。勢いつきすぎた…!」

「ごめんな?」なんて眉をへにゃりと下げ、翼は私の腕をグイッと引っ張り上げ床から立たせてくれた。ああ、本当ビックリした…!翼ったら、突然後ろからタックルしてくるんだもんなあ…!

「…で?翼は何のつもりで私に飛びかかってきたの?」
「ぬ、そうだったそうだった!夢、何で俺だけなのだ!?」
「は?」

何で俺だけなのだ?…って、え?どういう意味?「うぬぬ、何で何でー?」と依然として混乱気味に騒ぎ続ける翼に、私は「ちょっと翼、落ち着いてよ…」と諭すも、翼は「これが落ち着いていられないのだ!」と真剣な顔をして私の両肩をガッと掴んだ

「つ、翼?」
「夢。ぬいぬいとそらそらとおーしろーと書記にあげたって本当?」
「?あげたって…何を?」
「チョコなのだチョコ!みんなにあげたんだろ?」

…確かに。私は不知火会長や青空くんや白銀先輩や月子ちゃんやその他にも同じクラスの人や先生達にチョコレートを配った。でも何でそれを翼が…ってああ、きっと生徒会メンバーが教えたに違いない。(例えば不知火会長がもらったチョコを自慢した…とかね)

「チョコは確かにあげたけど、それがどうし…」
「夢、何で俺以外のみんなにはチョコを配って、俺にはくれないのだ?」

私の言葉に被せ泣き付いてきた翼は、私の身体をぎゅーっと抱きしめた。…ああ、何で俺だけなのだ?ってそういうことか

「翼、それは誤解だよ」
「…ぬ?」

私を抱きしめる翼の大きな背中をぽんぽんと撫でて、私は翼を見上げ微笑んだ

「翼は本命なんだから。ラストに渡すに決まってるでしょ?」
「!」
「翼のチョコならちゃんとあるよ。夜に翼の寮まで渡しに行こうと思ってたんだ」

そう苦笑混じりに言葉を紡いだ途端、私の身体がふわりと浮いた。…原因はもちろん、翼が私をその長い腕で抱き上げていることにあるのだが

「…翼?」
「ぬ…心配して損したのだ…」
「あ…ごめん。やっぱり最初に渡したほうが良かったね…」
「ううん、誤解した俺も悪いのだ。それに…こういう勘違いなら、たまにあってもいいかなって思える。不安になった分、嬉しく感じるから…」

ありがとうとまっさらな笑顔を見せ、翼はこつんと額を合わせてきた。そして私は同じ視線にいる翼の頬を両手で包み込み、ちゅっと触れるだけの軽いキスをした

「ぬ!?」
「えへへ、本命さんにはチョコの他にキスのオマケつきですっ」


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鈴村ボイスの魔力半端ないですよねっ。もう翼本当可愛ええ!*´`


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