振り返る



廃刀令。それが長きに渡る天人と人間の闘いの終結だった。今まで私達が護ってきた理想や誇りや信念も、全ては無駄なことだったのだと。死んだ仲間が聞いたら、果たしてどう思うことだろう。混乱しかき乱される心は、ただただ悲しみに打ち拉がれていた

「夢、見っけ」
「!ぎ、んとき…」

ふわりと背中に感じた温かい体温。後ろから回された腕に縋りつくように静かに顔を埋めれば、サラサラとした銀髮が頬を掠めた。…思わず目からは涙がぼろぼろと次々に零れ落ちていく

「…ぎん、とき…私、悔しいよ。みんなみんな、精一杯闘ったのに…何でこんな…」

私達は今まで何のために闘っていたの…?何のために剣を取り合って、何のために人を斬ったの…?…いくら自分自身に問い正したところで何も解決しないことくらい、分かってる。だけど私にはもうこんなことしか…暗闇の中で泣き喚くことくらいしか出来ないんだ

「…だからって全部が全部、意味がなかったわけじゃねーだろ」
「……?」

何を、と聞き返そうとした瞬間くるりと反転された体。目の前にはいたく穏やかそうに微笑む銀時がいて。彼は震える私の体を、苦しいほどに強く強く抱きしめた

「負けた戦でもきっと意味くらいはあったさ。だって俺達まだ、こうして生きているじゃねーか」
「!」
「この戦争の先に何があるかこれからもお前と一緒に見ていける。…情けねー話、そんな未来(もん)だけでも護れたことが俺にとっちゃ幸せなんだわ」
「銀時…」

…この先にある未来(もの)なんて。戦に負けた私達にとっては、もう意味のないものだって思っていた。この命だって、もう必要のないものだって思ってた。…だけど、またあなたと同じ道を歩いていけるなら。きっとそれも価値のあるものだったって、そう思えるはずだから。私は―…


来た道を振り返る


―…

「?夢、お前何笑ってんの?ついに頭おかしくなったかオイ」
「…えへへ、何でもないよ。神楽ちゃーん新八くーん、そろそろ帰るよ」
「あ、夢さん。僕も一つ持ちますよ」
「夢〜今日の夕飯は何アルか?お腹減ったネ」
「今日の夕飯はアレだろ糖分的なやつだろ?」
「さあ、どうでしょう?」


(これからも、ずっとずっと一緒に歩いていこうね)


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素敵企画祝宴
様に全力で捧げます!
銀/魂映画化おめでとう^^*3回は絶対見ます、DVDも絶対買います(キッパリ)

0110スージー著


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