別に?



「…夢、君それ何やってんの?」
「?何って…洗濯物を運んでるんだけど」

いや、僕が言いたいのは"何で君がそんなもん運んでるか"ってことだよ。遠くから見て「何だあの浅黄色の塊は」なんて少し吃驚しちゃったじゃないか。僕は思わず夢が両手いっぱいに抱える、その洗濯物の山を一瞥した

「だって私今日非番だし。良い天気だから、皆の隊服もまとめて洗ってあげようかなと思って」
「それ、夢の仕事なのかなあ」
「手が空いてて気づいた人間がやればいいことじゃない」

…まあ夢のそういうとこ、決して嫌いじゃないけどさ。でも何だか面白くない。見ればその洗濯物のなかには隊服の他に、個人個人の私服もいくつか見受けられる。一番上に乗ってるは左之さんのだし、あの下からはみ出してるのは平助のだし

「……」
「?総司?いきなりどうし…」
「隙ありっ」
「!?ああああああ!!」

急にすっとんきょうな声をあげた夢。無理もない。なぜなら夢が今の今まで抱えていた洗濯物の山を、僕が全部叩き落としたのだから。結果それらはぐちゃぐちゃになったまま、廊下に散らばってしまった

「ちょ、いきなり何すんの!洗濯物が…」
「やーっと夢の顔が見えた」
「!わっ…」

何も障害物がなくなったところで、僕は夢をギュッと正面から抱き締めた。小さな身体はすっぽりと、僕の腕の中に優しくおさまった


なんてことはない、


「まさかこれだけのために洗濯物を…?
「これだけのために、なんて心外だなあ。さて、折角の非番だし出掛けよっか。いい天気だしね」
「……」




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