羊先輩と哉太先輩に連れて来られた場所は学園内の食堂だった。もちろんそこにはお目当ての錫也先輩もいて…。おう錫也。何かコイツ元気ないらしいから美味い飯作ってくれ、と哉太先輩が言えば「そうなのか?じゃあ何か精のつく料理を…」なんて錫也先輩は調理器具を手に取る。うああ、なんか本格的な展開に…!

「す、錫也先輩!そんな…私なんかの為に手を煩わせなくてもいいですって!」
「あはは、大丈夫だよ。どうせいつも放課後は羊におやつ作ったりしてるから」
「あ、そうなんですか……ってそうじゃなくて!やっぱ私、先輩にそんなことさせるわけにはいかないです!」
「いや、でも…」
「そ…それに大丈夫です私なら!寮に戻ってカップラーメンでも食べるんで!」
「「……カップラーメン?」」
「?かっぷらーめん?雛、かっぷらーめんって何?美味しいの?」
「…羊先輩、食べたことないんですか?そりゃ美味しいですよ、ちょっと胃もたれしますけど」

深夜に食べるカップラーメンの美味しいことと言ったらもう…本当お腹空いた時の味方だよね!私の寮の部屋にはカップラーメンが常に30個くらいあるから、ほとんど毎日食べてると言っても過言ではない

「…雛、」
「?はい?」

くるりと錫也先輩の方を向けば、そこにはさっきまでと打って変わって顔に影を落とす彼の姿があった。ってか…なんか怒ってる?すごい笑顔なのにめっちゃ怖いんだけど…!隣にいた哉太先輩と羊先輩に視線だけで助けを求めたが、彼らには「こうなった錫也は止められない」と口パクで伝えてきた。えええマジでか…!

「…雛、昨日何を食べたか俺に教えてくれないかな」
「!え…な、何でですか?」
「いいから。朝は?何食べた?」
「(うわああやっぱキレてるぅぅ)あ、朝ですか?朝は確か……寝坊したんで何も食べてないです」
「……お昼は?」
「え、えっーとお昼は…梓と翼と学食に行って、梓と翼のご飯をちょっとずつ分けてもらいました」
「分けてもらった?…自分のお昼ご飯はどうしたの?」
「いや、今月金欠なんで節約しようと思って…」
「……じゃあ、夜は?」
「夜はですね、夜食がてらカップラーメンを食べました。あ…カップ焼きそばだったかな?」
「「「……」」」

明後日くらいには親が仕送りしてくれるはずなんだが…いかんせん、私は普段親と連絡なんて取っていないからそれも不確定だ。まあ気にしないでくださいと苦笑いを返せば、錫也先輩にいきなり肩をガッと掴まれた

「!?す、錫也先輩?」
「…雛、明日からお昼は俺達と一緒に食べなさい」
「え?で、でも梓と翼が…」
「その2人も一緒で構わないから」
「は、はぁ…でもあの何で…」
「明日からは俺が雛の分の弁当を作ってやるから、お前はそれを食べなさい。お前は食事ってものをなめすぎだ」

どうせ栄養配分なんか考えてないんだろ?そんな食事じゃ身がもたないぞ、とつらつらと言葉を続けられれば私としてもコクコクと頷くしかない。…いや待てよ?もしかして今日とか調子が悪いのも、そのせいだったのかな…?そういや最近はもう節約重視で、カロリーメイトとかインスタント食品とかしか食べてないや

「俺がちゃんと栄養バランスの取れた食事を作ってやるからさ。そうだな…出来れば夕方も食堂(ここ)においで?そしたら夜ご飯も作ってやれるし」
「ええっ?錫也先輩、それはいくら何でも…」
「大丈夫大丈夫。んな気ィ遣わなくても。料理は錫也が好きでやってることだし」
「そ、そんな。哉太先輩まで…」
「そうだよ、君はご好意に甘えたらいい。それに…錫也の作るおにぎりは絶品だからね。毎日食べれば元気になるよ」
「……あの、ちなみに深夜にカップラーメンを食べるのは…」
「「「絶対禁止」」」
「えええ」

な、何がいけないって言うんだ…!それから何度も三人の先輩に抗議をしたのだが、許可は下りなかった。い、意味が分からない…。あまりの意味不明さに後日私がそのことを梓や伸也くんや隆文先輩や颯斗先輩や誉先輩や星月先生に伝えれば、全員に「それはお前が悪い」というようなことを言われた。えええ…ますます分からなくなってきた…









空想レッテル


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