「…それで?まーた喧嘩ふっかけたのか?」
「別に今日のは私から仕掛けたわけじゃありません」

きっぱり答えると星月先生はハァ、と大きくため息をついた。?何でそんな困った顔をしてるのかな…?いつの間にやらできてた頬っぺたの傷にぺたっと絆創膏を貼ってもらった後、私は「星月先生?」と思わずその名を呼び掛けた

「あのなぁ…どっちが仕掛けたとか、そんなのは問題じゃないんだ」
「え、でも…」
「どっちにしたって喧嘩なんかするもんじゃない。…お前も女なんだから、身体に生傷なんか残しちゃ大変だろ?もうむやみに手を出したりするな」
「……」
「返事は」
「…はい、」

やっぱり大人の人にそう言われてしまうと、私としても頷くしかない。…いつも職務怠慢とか言われてばっかだけど、星月先生もこういうところはちゃんとしてるんだなあなんて。本人に言ったら怒られるだろうか。それとも呆れたような苦笑いを返されるだろうか

「確かにお前は女にしちゃ腕っぷしは強いんだろうけど…次に万が一またこういうことがあったら、絶対誰かを呼べよ?危ないから」「誰か…ですか」

そんなの、当てがないなぁ…。一樹会長とか哉太先輩とか呼んだら余計に面倒くさいことになるだろうし、それ以外の人は喧嘩なんか出来そうにないし。(星月学園って草食系男子が多いよね)そう正直に自分の真意を話せば、星月先生は苦笑しつつ私の頭をくしゃりと撫でた

「俺を呼べばいいだろ?」
「!え、星月先生をですか…?」
「何だ?俺じゃ頼りにならないか?」
「い、いえそんなことは…」
「だったら呼べばいい。生徒1人護れなきゃ教師として失格だろ?」

そう笑う星月先生は普段私の知ってる星月先生じゃないみたいだった。…なんて、綺麗に笑うんだろう。というか近くで見るとやっぱり星月先生って綺麗な顔だちしてる。むしろ何か色気さえ感じ…って何考えてんだ私。いかんいかん

「…渡邉、」
「はい?」
「お前は女だから、この学園で色々大変な目に遭うかもしれないが…無理だけはするな。呼んでくれれば、俺は絶対にお前のところに駆け付けるから」

いつもみたいな気だるそうな声色でなく、真剣な力強い声でそう言った星月先生に私は咄嗟にお礼が言えなかった。…な、何かめちゃくちゃ恥ずかしい…!「星月先生…まるでスーパーマンみたいなこと言いますね」と冗談っぽく笑えば案の定、…大人を茶化すな。話は真面目に聞け。と返された。素直じゃない生徒でごめんなさい…。私は星月先生の優しい眼差しを見つめ、心の中で謝罪をした。ああ、私にもう少し可愛げというものがあったなら良かったのに


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空想レッテル


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