「あ〜勉強なんかしたくないよ〜」
「雛うるさいよ」
「そうだぞー図書室では静かにしなきゃダメなのだっ」
「……分かってるよォ」

いつの間にか期末テスト前1週間となった今日、私は梓と翼に図書室へと連れて来られた。今日の授業も丸々さぼってたし…雛は1人じゃテスト勉強なんかしないでしょ、と梓にお叱りを受けたうえでのことである。はあ…テストなんか私はどうでもいいのになあ〜

「ぬ、雛がんばるのだ!俺、雛と一緒に進級したいぞ!」
「…あっ確かに先生にこのままじゃヤバいって言われてたわ。あはは〜」
「ぬがー!あはは〜じゃないぞお!ちゃんと勉強するのだ!」

むっと頬を膨らませる翼に適当にはいはい。と返すと、はいはいじゃないのだ!とまた噛みつかれた。いやそりゃ私も翼や梓と一緒に進級したいけどさ…宇宙科って、星月学園に6つある学科の中で一番偏差値高いんだぜ。うちのクラスメイトみんな、マジで他の科の生徒とは別格なんだぜ。1人アホな私はもうお先真っ暗だよ……!分かってよ…!

「…っていうか梓と翼は勉強しないの?人を誘っておいてさ」
「ぬぬ?俺はテスト勉強はいつもしてないぞ〜?」
「僕もだよ。普段から授業に集中してればテスト前に特別何かする必要なんかないからね」
「…!!」

……うわあ、本当に私何で宇宙科に入ったんだろう。というかたまたま興味を持った宇宙科に希望を出して、よく入学出来たもんだよね。編入試験の出来が奇跡的に良かったんだろうなあ…。宇宙科で浮きまくってる自分が自分で可哀想なくらいだ…やっぱそろそろ本腰いれて勉強するべきなのかそうなのか

「…はあ、せめて将来なりたいものとかあればなぁ…」
「え?」
「だ、だって目標というか夢があれば頑張れるものじゃない?実際ほら、翼と梓も前に言ってたでしょ。二人の夢は翼が宇宙船を作って、宇宙飛行士になった梓がそれに乗ることだって。…そういうのって何かすっごくロマンがあるよね」
「…そうかな?あくまで仮定の話を目標に掲げてるだけだよ?」
「それでもそれを実現したいって翼も梓も願ってるんでしょ?それはすごく素敵なことだよ。私すごく羨ましいもん」

いいなあいいなあと机に肘をついて唇を尖らせれば、梓と翼は互いに顔を見合せ不思議そうな表情をした。ん?なにその顔…

「じゃあ、雛も将来の夢をつくればいいじゃない」
「…へっ?」
「うぬっ、そうだな!雛は何かやってみたいこととかないのか?」
「やってみたい、こと…?」
「別に明確なものじゃなくてもいいんだよ。雛の将来してみたいことは何?」
「……」

ま、まさかこんな話題になると思わなかったなあ…。うーん…今私が未来に望むこと、か…

「ほら、どうなの?」
「ええと…目標とかそんなんじゃないんだけど…」
「ぬ?」
「私はー…翼と梓とまた一緒にいたい、かな」

二人の目指す道が同じなら、私も一緒についていきたい。二人の夢が今から少しの未来に、どんな形に成長していくのかすぐ隣で見てみたい。また未来でも…三人一緒に笑ってたい。翼と梓はこの学園で初めて出来た最初のお友達だから。…ま、まあ二人みたいにアメリカの大学とか?NASAとか?そういうのに進めるほど頭は良くないけどね…。と苦笑いを浮かべれば、梓に何故か急にデコピンをくらった。えええ何でよ…!

「い、いきなり何すんのさ梓!」
「……雛が不意打ちくらわせるから、ちょっとムカついたんだよ」
「は、はあ…?」
「ぬはは!雛、梓は照れてるだけだぞ〜雛がすっごく嬉しいこと言ってくれたから」
「へ?」
「そんでもって俺も今すっごく嬉しい!雛、大好きなのだっ!」
「!わわっ…」

まっさらな笑顔を見せ翼は何を思ったのか、私にいきなりガバッと抱きついてきた。う、苦しい…!翼、力強すぎ…!翼、雛が苦しそうだよ。と呆れ気味にツッコミを入れてくれた梓。そんな彼に…あれ?梓、顔赤いけどもしかして風邪?大丈夫?と翼に抱きしめられたまま尋ねれば、「翼、やっぱそのまま抱き潰しちゃっていいよ」と冷たく言い捨てられた。な、なにゆえ…!今日の梓ほどワケの分からないものはないよ…!











空想レッテル


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