「…じゃあ雛さん、会長。先に失礼しますね」
「ぬはは〜雛、ぬいぬい!また明日なのだっ」
「おぅ、お疲れ」
「颯斗先輩、お疲れ様でした〜」
「ぬ!?雛、俺は?俺にはお疲れ様って言ってくれないのか?」
「翼は仕事してなかったじゃん」

一樹会長と共に慰労の言葉をかけ、私は生徒会室から出ていく颯斗先輩と翼に手を振った。パタンとドアが閉まったのと同時に、私は一樹会長の方をじろりと睨む。
「…で、一樹会長はまだ仕事終わらないんですか?」
「ん、もう少しで終わるぞ」
「(……はぁ、)」

こんなに仕事あったなら、放課後無駄にふらふらしたり翼と遊んだりしてんなよ…。何で生徒会長だけが仕事終わってないんだよ。私なんて一樹会長がいない間、部活中だった月子先輩の分の仕事とかを手伝ったんですけど?自慢じゃないがそれももう終わったし
「……」

…まぁこうして彼氏である一樹会長を待つのは最早決まりなので、いつものことだと割り切るしかない。私はせっせとシャーペンを動かす一樹会長に「…終わったら言って下さいね」と伝え、ソファーにごろんと横になって目を閉じた。









「ー…雛、」
「んむ…」
「オイ雛、起きろ」
「あ、れ…一樹会長…?仕事、終わったんですか…?」
「あぁ。お前がぐーすか寝てた間にな」

一樹会長はまだ寝ぼけなまこの私の頭をぽんぽんと撫で、よく眠ってたな。寝不足か?とへらっと笑った。…あ、珍しくメガネしてる。私、一樹会長のメガネ姿個人的に好きなんだよね。もっと普段からもっとメガネかけてくれないものかね。メガネとか本当萌える

「?雛?ほら、何ボーッとしてんだ。帰るぞ、寮まで送ってやる」
「……動きたく、ないです」
「は?」
「起きるのが億劫…です」

ソファーに仰向けに寝転がりながら、私は傍らに立つ一樹会長にこのままここにいたらダメですか?と進言した。が、「何馬鹿なこと言ってんだ」とばっさり切られた。む…生徒会室は暖房も冷房もきくし、一晩くらい別に問題ないと思うんだけどなぁ〜…。う、本当めんどくさいなあ

「ほら雛、いい加減もう起きろって。帰るぞ」
「え〜…嫌です。なんか眠いんですもん」
「だったら尚更だろ。自分の部屋のベッドで寝ろよ。な?」
「うー…じゃあ一樹会長、起き上がらせて下さい」
「何?」
「自分じゃ、起き上がれないです」

普段はこんなに一樹会長に甘えるというか…困らせるようなことはないのだが、今の私は寝起きで何かおかしくなってるらしい。もしかしたら頭のネジ一本ぐらい飛んでしまったのかも、なんて夢うつつの頭のなかでぼんやりと考えた。が、そんな私に一樹会長もどうやら少し驚いたみたい。ったく…仕方ねーな。とため息一つつき、伸ばされた私の両手をギュッと掴んでくれた。長い腕が私をグイッと力強く引っ張り上げる。が、

「!?ん、ぅ…」

…強い力でグイッと引っ張り上げられたと思えば、私はそのまま一樹会長に唇を重ねられた。驚く私の後頭部に手をあて、一樹会長は角度を変えては何度も口付ける。ざらりと生暖かいものが私の舌をゆっくりと絡めとり、口内を犯していく

「ん…っ…」

ち、力が入らない…。立ってることすら困難になった私を、一樹会長が寸手のところで支えてくれた。やっと離された唇。…これが彼の狙いだったのか、私は既に怒ったり抗議したりする気力も全てなくなっていた。っ…こういう時だけ強気なんだから何かムカつく。肩を上下させながら、私は彼をぎらりと睨み付けた

「……不意討ちにしては長くないですか」
「途中で起こされて不機嫌なお姫様には、王子様のキスが必要だと思ってな?」
「なに気取ってんですか」
「何だよ、満更でもなさそーな色っぽい顔しといて」
「…一樹会長、何発殴られたいですか?」
「や、一発でもノーセンキューなんだけど」

その後私が一樹会長に何をされたかは皆さんのご想像に任せますー…と言いたいが、それ以上は私がさせなかった。生徒会室なんかでそんな淫らな行為されてたまるか。私はそんなに軽い女じゃない







空想レッテル


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