「(日向くん大丈夫なのかなあ…)」

信じてる、とは言ってみたものの…どうやら菅原先輩情報によると、日向くんと影山くんは仲違いばかりで上手くチームプレーが出来ていないらしい。…スパイカーとセッター。一度は敵同士だったとしても二人が上手いことそれぞれのポジションの役割をこなせば、すごいプレイが出来るかもしれないのに。…なにより。中学の時は日向くんの能力を生かせるセッターが誰一人いなかった。 影山くんみたいな素晴らしいセッターなら、もしかしたら…


キンコーンカンコーン
「ふわあ、やっと昼休みだー!」
「蜜柑ちゃん、お昼一緒に食べよー」
「あ、うん。でも私購買でお昼買ってくるから…」
「えっ今日お弁当じゃないんだ?分かった、じゃあ教室で待ってるね」
「うん!ありがとう」

昼休み。財布を片手に、私は教室をでた。…日向くんはチャイムと同時に教室を飛び出していったから、多分昼練に行ったんだろう。うーん…お昼食べたらちょっと見に行ってみようかなあ…

「!?っ、危ね… 」
「!わわっ…!」

ボーッとしていたのが悪かったのか、廊下の真ん中で誰かとぶつかってしまった。幸いゆっくり歩いていたため、あんまり衝撃は少なかったけれど。私はぐらりとふらつき、財布を廊下に落としてしまった

「ばっ…気を付けろ!」
「ご、ごめんなさい!」

こ、怖…!えっもしかして先輩…!?ぺこぺこと頭を下げ、私はそろそろと目の前の相手の顔を盗み見た

「…あ、あれ?」
「?何だよ」
「…コート上の、王様…?」
「!っ」

…そうだ。この男の子、覚えてる。日向くんのあの試合の対戦相手だった、影山くん。別名コート上の王様。…そっか。彼もこの春に烏野高校に進学して、男子バレー部に入部したんだもんね。こうして学校内で顔を偶然会わせることも不思議じゃな…

「お前…何でその呼び名を知ってる?」
「えっ…」

ぎろりと力強く睨み付けてくる影山くんは青筋を浮かべた。!?え、えええ…なんかめっちゃ怒ってる…!?怖い…!

「え、ええと、日向くんの試合の応援をしにいった時に、影山くんがそう呼ばれてるって知って…」
「?試合?」
「…中学総合体育大会の一回戦。雪が丘中と北川第一中の…」
「ー…ああ、お前あん時に日向といたやつか」
「?!えっ?何で知って…」
「試合中も応援席からやけに一人うるさく応援してたし、試合終わった後号泣して日向に駆けよってだろ。すげえ目立ってた」
「…!!」

ま、まじでか…!田中先輩にも言われたけど、あの時の私どんだけ目立ってたの…!まさか影山くんにまで言われるなんて…!

「俺は、その呼び名嫌いなんだ。だから呼ぶな」
「!ご、ごめんなさい…」
「……お前、また日向と同じ学校に進学したんだな」
「?う、うん」

「それに、男バレのマネージャーになったんだ。これからよろしくね…?」と影山くんに伝えれば、影山くんは「……マネージャー?お前が?」なんて眉をひそめた。えっなにそのリアクション

「…お前マネ出来んの?いかにも鈍くさそーだけど」
「どっ…!?」

な、なにその上から目線発言…!確かに身長は影山くんのほうが全然でかいけど、何でそんな上から言われなきゃいけないの…!同じ一年生なのに…!

「で、出来るよ!私、日向くんの為に頑張るって決めたんだし!」
「は?日向のために?」
「…だ、大体私はもう入部出来たけど影山くんはまだ入部すら出来てないじゃない。どっちが鈍くさいかわかんないよ…!」
「(!びきっ)……お前日向と仲良いだけあって日向そっくりだな。揃いも揃って人をイラつかせて…類は友を呼ぶって本当なんだな」
「か、影山くんが先に喧嘩売ってきたんじゃない!」
『おっ喧嘩か?』
『なんだなんだ?』
「「……」」


**


「一年が廊下が喧嘩してるって聞いて来てみれば…アイツらかあ…」
「はあ…なんか今年の一年は問題児ばっかだな」


−−−−−−
そんなこんなな出会い。これから影山くんと仲良くなれる…かも



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