その日、私はいつものように明日の朝ごはんの下拵えをしてから、自分の部屋に戻ってベッドに入ったはずで。目が覚めたころにはいつも通りの朝が私を出迎えてくれるはずだった

「………」
「?ポプリ、どしたの?変な顔して」
「……あんたら誰」
「あはは、何だよポプリまだ寝ぼけてるのか?」
「??」

いや…あんたら誰なの。どちら様?というか、何故に私の部屋にいるの。目の前にいるのは茶髪に眼鏡の、人の良さそうな感じのするお兄さんと。人懐っこそうな笑顔を浮かべる明るい金髪の、体格の良い少年。…見慣れた黒いスーツに白いワイシャツにセリエ毎で色違いのネクタイってことは、ファミリーの人…?

「えっと、あの…ごめんなさい本当によく分からない。誰?というか何しに来たの…?」
「ぷっ…あはは!ポプリやっぱまだ寝ぼけてるなっ」
「こらこら、笑っちゃ可哀想だよリベルタ。ポプリも疲れて寝過ごしちゃうこともあるって」
「あ、そーだよな。毎朝誰よりも早く起きて朝ごはん作ってるポプリが、今朝はこんな時間まで寝てるんだもんな…ごめんポプリ、疲れてるならまだ寝てていいんだぜ?」
「そうそう。俺もリベルタもポプリの様子見に来ただけだからさっ」
「ま、パーチェはさっきまでポプリが来ないと朝ごはん食べれない!とか騒いでたけどな」
「わー!それは言わない約束だよリベルタあ!」
「…えっ…」

リベルタに…パーチェ…!?目の前のこの二人が!?会話の流れからしてそうらしいし…それによく見たら何となく面影あるけど、でも…

「(な、何でこんないきなり変わってるの…)」

男の子の成長は早いとか言うけど、いきなりこんなに変わるものなのか。というか、パーチェはもう成人男性なんだから成長云々じゃないよね。パーチェ…何でいきなり老けた、の、?ニコニコと明るい笑顔を見せるところは子どもっぽさが窺えるが、いつものパーチェより明らかに外見は大人びている。態度もいつもより落ち着きがあるし

「パーチェ…いつの間に眼鏡が相応になったの」
「えっなにそれどういう意味!?」
「中身はともかく外見は知的っぽいよ…眼鏡が奇跡的に似合う」
「ポプリそれけなしてるでしょ!」
「というか、それにリベルタも…」
「ん?」

…リベルタは私より年下なのもあって、弟のように可愛がってきた。けど、今の彼はどうか。身長は私よりも随分と伸びているし、体格もダンテや諜報部の面々のように「海の男」と呼べるまでにがっしりとした体つきになってるし…

「リベルタ…いつの間にそんなカッコよくなっちゃったの?」
「ぶっ!?」
「え、ポプリがどうしちゃったの。あの毒舌のポプリが」
「いや、本当にカッコいいんだもん。リベルタこんなに男らしくなって…わあ、筋肉とかもスゴい」

ペタペタとスーツの上から軽くリベルタの体を触る。ふむ…服の上からでもこんなに固いだなんて。1日でこうも筋肉を鍛えられるものだろうか。リベルタが趣味でつけてる手作りのアクセサリーがいやに似合う。なんかこう…オシャレイケメン的な?

「っ、…あ、あ、あのポプリ…!」
「わーんポプリズルい!リベルタにハグするなら俺にもー!」
「ハグまではしてないでしょ」
「おいっ騒がしいぞ。廊下まで声が響いてる」
「あ、ノヴァ」
「げっノヴァ」
「!?」

突然ドアを開け現れたその人物。見慣れた青い髪に、大人びた顔立ち、切れ目の鋭い瞳、すらっとした長い手足。こ、こ、これは…!

「ー…私の知ってるノヴァじゃない!!!」




**








「…おい、起きろ」
「…はっ!」
「こんなところで寝られていては聖杯の警備の邪魔になる。さっさと館に戻って…」
「!ノ、ノヴァ!」
「!?うわっ」

目を開けた瞬間、思わず反射的に目の前にいた人物に抱きついた。「なっ…は、離せ!」と喚きじたばたするノヴァを無視して、ぎゅうっと彼の顔を肩あたりに押し付ける。…この手におさまるぐらいの小柄な感じが、もう激しく懐かしい…!

「やっぱノヴァは小さい方が安心する!」
「な、何だそれは!僕に対する冒涜か!」
「まだ可愛いノヴァでいてほしい!」
「か、可愛いとか言うな!僕だってすぐに背が伸びてフェルやポプリを越す!」
「急激に伸びないでほしいです!」
「は…はあ?」


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ガルスタのアルカナ2に衝撃





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