◎夢主さんはルカの恋人設定


「ルカあー生きてるー?」
「!ポプリ…」

ドアをノックもせずに押し掛ければ、ちょうどルカは布団にぐったりしていた。あー…やっぱり辛いんだろうなあ。ルカはまさか私が来ると思っていなかったのか、ガバッとベッドから上半身だけ起き上がり、「ダ、ダメです」と掠れた声で言う

「ポプリ、私の風邪がうつるといけませんから部屋から出てくだ…」
「うん。ルカがそうやって、フェリチータお嬢様が看病してあげるって言ったのを断ったって聞いてたよ。だから来たの」
「え…?」

「だってそしたら看病してあげる人がいないかなーって。ほら、私風邪なんかひいたことない健康馬鹿だから。幼なじみのルカは知ってるでしょ?」なんて、にかっと笑えば、ルカは「……まあ、ポプリは昔から風邪一つひかない健康な子でしたね」とつぶやき咳を一つした

「それにしても…なんだか新鮮ですね」
「へっ?」
「…小さい頃は風邪をひいたお嬢様はもちろん、デビトやパーチェの看病したことはありますが…、こうして自分が看病してもらうことはなかったので」
「あーそう言えばそうだったね。具合悪くなった時はいつもルカが面倒みてた」

懐かしいなあ…。ルカは幼なじみの私たちからしたら、頼れるお兄ちゃんで。私たちは幼くして両親をなくしてるから、そうやって具合悪くなった時は症状云々より寂しい寂しいって泣いてたっけ。その度にルカが大丈夫ですよ私がいますからって、温かいリモナータをくれ…

「あっそうだ。今日はちょっと新しい料理を作ってみたんだった」
「新しい料理、ですか?」
「うん。マンマが教えてくれた…ジャッポネのおかゆっていうの。消化にいいから風邪ひいた時には良いんだって」
「おかゆ…」

「…それは興味ありますね。ポプリがせっかく作ってくれた、ジャッポネの料理。美味しそうです」と私の手元にある鍋を見て、ルカはにこりと微笑む。…えっと、ルカは食欲はあるの、かな?もし気持ち悪いなら無理しなくても…。そう伝えれば、ルカは「ポプリが作ってくれた料理を私が食べないとでも?」と間髪入れずに笑顔で凄まれた。え…!な、何急に…!よく分からないけど怖い…!

「は、はいどーぞ!」
「ふふ、ありがとうございます」

鍋から器にお粥を移し、ルカにスプーンと一緒に渡す。…一応マンマにも味はみてもらったから大丈夫だとは思うんだけどなあ。でも、ちょっとドキドキする…

「……」
「ど、どう…?」
「これは…なんだかホッとする味ですね。食べやすいです。こっちで言うリゾット…のようなものでしょうか?」
「んーリゾットよりか薄味に作るけどね…。あんまり濃い味付けだと病人の口当たりによくないかなって思ってそうしちゃったし」
「ええ。おかげで食欲がでてきました」

「もう一杯ついでもらえますか?」と尋ねてきたルカに、私はお粥を器に盛って渡す。…良かった。気に入ってもらえたみたいで。ルカが美味しく食べてくれて、すごく幸せ。嬉しい

「…ルカ、」
「はい。何ですか?ポプリ」
「あ、あの…ちゃんと食べて早く元気になってね?ルカがせかせか従者の仕事して館の中を走り回ってるの見てないと、逆に落ち着かないから」
「…あはは、そうですね。早く回復しないとですね」
「そ、それに…さ」

…な、なんか言葉が喉につかえて上手くでない。幼なじみとして、気軽な言葉やふざけあう言葉なんかはペラペラ言えるのに。…恋人としての言葉、を意識した途端に頭が真っ白になっちゃう。私はスーハーと深呼吸をし、ルカの真ん丸な瞳をじっと見つめた

「……早く、元気になって?」
「…ポプリ?」
「私も、ルカが元気になってくれないと、何か調子狂うし…元気でないの」
「!…」

…心配なの。ルカの具合が少しでも悪いってのを考えると。はらはらするの。頭のなかが、いつも以上にルカのことでいっぱいになっちゃうの。だから…早く回復して。私を安心させて。そう言葉を紡げば、「…ふふっ、ポプリは相変わらず素直じゃありませんね」なんてくつくつと笑われた。え、えええ何で…!

「…なら、ポプリ。一つだけ、お願いを聞いて頂けますか?」
「へっ?」
「それが出来れば、私は明日にでも元気になれるはずなんです」
「?…ま、まあ私に出来ることなら…」
「ありがとうございます」

ー…次の瞬間、肩にそっと手を置かれ、そのままルカの顔がこちらに近付いた。そして、気付いた時にはルカの唇と私の唇が重なっていて

「!ん、っ…」

な、ななななっ…!顔をかああっと赤くさせ、さらにアホみたいに口をパクパクさせる私に、ルカはいつもみたいに朗らかな笑顔を浮かべる

「っ、いや、ル、ルカ何で…」
「アモーレが人を何より元気にさせますから」
「!……ルカらしく、ない」
「私だって一人のレガーロ男ですからね」

「ポプリのおかげで、早く治りそうです」と言葉を紡ぎ、ルカは慌てる私の姿をじっと見つめる。…そうやって、たまに見せる余裕が嫌。戸惑っちゃうから。ズルいなって思っちゃうから。…私も、もっと余裕でいたい

「っ…ルカ、」
「はい?」
「こ、今度は私から、あげる」
「えっー…」

ちゅっ。ルカの唇にもう一度、触れるだけの口づけを。…早く元気になって。そう思いながら。今日も私はあなたにアモーレを捧げるのです。



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ちょっといつもより強気なルカさん×夢主さん



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