「…ポプリ、何かあったの?元気がないみたいだけれど」

私の部屋に手作りのパンナコッタを届けに来てくれたポプリに違和感を感じ、私はそう声をかけた。「え?いや、えっと…そんな、お嬢様に言うようなことでは…恥ずかしい話だし…」と言葉を濁すポプリに、私は「もし良かったらお話聞くよ?ポプリの悩んでる姿、見たくないもの」と微笑む。するとポプリはうるうると瞳を潤ませ、「フェリチータお嬢様…!ありがとうございます」とぺこりと頭を下げていた

「なんというか…実は、」
「うん」
「さっき3バカトリオがいたんで声を掛けたんですね?」
「3バカトリオ??」
「ルカとパーチェとデビトのことです」
「あ、ああなるほど…」

…なんとなく予想してたけど、やっぱりデビト達絡みの悩みなのかなあ。ポプリとルカとパーチェとデビトは幼なじみだけあって、いつもお互い遠慮ないし。今回もきっと…

「で、三人に声をかけたんです」
「何て声をかけたの?」
「…今日はちょっと料理頑張って作ってみたから。夜ご飯楽しみにしててねって」
「それで、三人は?」
「…パーチェはいつも通り"わーいお腹空かして帰るね!!"なんて喜んでくれて。ルカも"ポプリが頑張ってくれたなら私もすごく楽しみです"なんて喜んでくれたみたいなんです。けど…」
「けど?」
「…デビトが、夕食はいらねェ。つーか俺は酒があればいいしなとか言い放ってきて…」
「…それはひどいね」
「!や、やっぱりお嬢様もそう思いますよね?」

デビトは確かに館で食事自体あまり取らないし、いつも少食だけど。ポプリのせっかくの好意をそんな…。ポプリが可哀想。ファミリーでそんなことをポプリに言うのはデビトやジョーリィぐらいのものなんじゃないかな

「…デビトは昔から何か食べてる時間が一番人間無防備になるから嫌なんだとか意味分からないこと言ってて…あーもう!本当に気難しいやつなんです!」
「そっか…、ポプリはデビトと付き合いが長いもんね」
「デビトはみんなと一緒の食卓で食事すること自体珍しいし、ちゃんと食事を完食することも滅多にないし、しかも好き嫌い激しいし…」

「小さい頃は好き嫌い激しいデビトのために私が色々料理をアレンジしてあげたこともあるんです。あいつ偏食だから、本当に大変で…」とため息をつくポプリを見て、私は少しデビトに苛立ちを感じた。…ポプリはデビトのこと考えてくれてるのに。全くデビトは…

「ー…フェリチータお嬢様は、いいなあ。私羨ましいです」
「?きゅ、急にどうしたの?」
「だって、お嬢様のアルカナ能力は他人の心を読めること…ですよね?」
「う、うん」
「…すごく、羨ましいんです。もちろんお嬢様にもその便利な能力のせいで困ってることや嫌なこともあったかもですけど…。その能力があれば、毎日みんなが今日は何を食べたいと思ってるのか分かるし。それにー…あの気難しい男の考えも見えるだろうし」
「ポプリ…」
「デビトは本当にひねくれてるから、絶対に心の内は明かしてくれないんですよ昔から」

そう寂しそうに微笑むポプリは小さくため息をついた。…ポプリのそんな落ち込んだ顔、見たくないよ。ー…ポプリは、デビトとどうしていきたいのかな。このままじゃ、ポプリはデビトのこと嫌いになっちゃう…?

「(……ごめんね、ポプリ)」

私は悪いと思いながらも、恋人たちの能力でポプリの心をそっと覗いた。そして、そこにあったのはー…

『(デビトは分かりにくいやつだ』
『(デビトのこと、もっと理解したいのに)』
『(デビトは私の作った料理がそんなに嫌いなのかな?)』


「…!…ポプリ、」
「?はい…」
「デビトは、ポプリの作る料理が嫌いとか…そういうんじゃないと思う」
「?フェリチータお嬢様…」
「だって、自分にとって大切な人が作った料理ならきっと嬉しいし好きに決まってるし、それに…」
「それに…な、何ですか?」
「ポプリがそうやってデビトのことすごく大切に思ってること、きっとデビトも分かってるし気付いてるよ。デビトが、素直じゃないだけ」
「!…」

そう微笑めば、ポプリはかああっと顔を赤らめ「ちっ…違います!私はデビトのことなんか、大切にとか思ってないです!あんなエロ魔神のことなんか!」なんて首をぶんぶんと横に振る。…大丈夫だよ、ポプリ。だって私、デビトがポプリの作った料理残してるところ見たことないもん。……ポプリも素直じゃないけれど、デビトももっと分かりやすくしてあげれればいいのに。私はそんなことを考えて、ポプリの心から目を反らした


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フェリチータ視線。むずかしい…!



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