「うわ〜!魚がいっぱい泳いでる!」
「こ、こらポプリ!あまり乗り出すな!危ないじゃないか」
「だってダンテ、魚が…」
「分かった、分かったから少し落ち着け」

「今日は海も穏やかなもんだが、万が一波にのまれて船から落ちんとも限らん」と私に言い聞かせ、ダンテは私に船内に行くよう指示した。え〜…もっと近くで海を見てたいのに…!

「あはは!ポプリ、すげえはしゃぎようだなっ」
「リベルタ…だって船にこうして乗るなんて初めてなんだもん」
「分かってるよ、だから俺が"そんなに乗ってみたいならダンテに相談してみれば?"って言ったんだろ?」

「ポプリ、ずっと俺らのこと羨ましいって言ってたもんな!」とニカッと笑うリベルタに、「えへへ、その節はありがとうね」と微笑み返した。そう、私は今諜報部のみんなと一緒に船に乗っているのだ。今日の諜報部の仕事は島の近海の巡回だけらしいし、船では何も出来ない私がいてもそこまで邪魔にはならないだろうと、ダンテに船への乗船を許可されたわけだ

「潮風が強いからなあ、ポプリみたいに身体が軽いと、強い潮風に煽れ海のほうに飛ばされても不思議ではない。注意は必要だ」
「でも、近くで海見たいよ私!せっかくだし、あんな美味しそうなピチピチの魚の群れが近くを泳いでるわけだし!」
「……ポプリって普通の女の子とやっぱずれてるよな」
「??」

「何で?リベルタもお刺身好きでしょ?私捌いてあげるよ?」と懐から包丁セットを取り出せば、すごく微妙な顔をされた。何故…!「…普通ならこう、海が綺麗だとか、そういう…」とかぶつぶつ呟くリベルタに首を傾げた。?よく分からない…

「ほらポプリ、そろそろそんな船の端から移動し…」
「うん、わかっ…って、わわわ!?」
「!いかんポプリ!」

ビュッという強く鋭い風が吹きたち、冗談のような話だが私の身体はふわりと宙に浮かんだ。っ…ま、マジか!焦ったようなダンテの声に、流石にマズイと危機感を感じる。っ、お、落ちてたまるかああ…!

「ポプリ!」
「!」

こちらにグッと手を伸ばされたリベルタの手をがっちりと掴む。そしてそのままリベルタに引っ張りこんでもらい、私は…

「きゃっ!」
「どわっ!」

…なんとか海に落ちずにすんだ。うあ…本当に一瞬死ぬかと思った…!咄嗟に手を差し出してくれたリベルタのおかげだ。「リベルタ、ありがとう」とお礼を言おうとするも、リベルタの姿が見当たらない。あれ…?

「っ…ポプリ、あ、あの…」
「…ありゃ、リベルタそこにいたの」

道理で見当たらないわけだ。…私、倒れた拍子にそのままリベルタを押し倒しちゃってたんだ。私は真下にいるリベルタに「ご、ごめん。重いよね?私最近体重やばくて…」と苦笑いを浮かべ、のそのそと起き上がりリベルタからどいた

「全く…言わんこっちゃない」
「あ、あはは…海って怖いね。侮ってた。リベルタありがとね、おかげで助かっ……リベルタ?」

??何でリベルタ、まだ起き上がらずに寝転がったままなの?も、もしかして私のせいで足捻ったとか…?頭打ったとか…?「り、リベルタ大丈夫?どうしたの?」と声を掛ければ、ダンテも「ん?リベルタお前、どうかしたか?」なんて眉をひそめていた

「む、むね、が…!」
「へっ?」
「……分かったポプリ、そっとしておこうリベルタのことは」
「え?」
「そうだな…さっき網に魚が何匹か捕れていたんだ。それを料理してくれないか?もうすぐ昼時だしな」
「え??」
「ほら、あっちで誰かに厨房まで案内してもらうといい」
「??う、うん…じゃあ私行ってくるから、ダンテはリベルタのことよろしくね」
「ああ」

?何でダンテあんな早口で、まるで私を追い払うみたいに言ってきたんだろう…?……まっいいか。さっきのお礼も兼ねて、リベルタ達のために美味しい魚料理振る舞おうっと!



「ー…リベルタ、いくら船の上の生活が長かったとはいえ…お前はもう少し女の子に免疫をつけておいたほうがいいなあ」
「だ、だってダンテ…!ポプリのむ、むむむ胸が当たって…!」
「分かったからまず鼻血を止めろリベルタ…」



−−−−−−
押し倒した拍子にリベルタさんに胸が当たってしまっていた模様

ゲームじゃ散々うぶでしたよねリベルタ。まあそんなところが好きですが!



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