「デビト、これ美味しいね!」
「…へェ、本職の料理人からしても美味いのか」
「うん美味しいよー。いやあ、これはお酒が進むだろうねー」
「ハハッ、それで軽く三本めのボトル開けるか?女らしくねーなァ相変わらず」
「うっさいなー別にいいじゃん!美味しいんだから」

デビトやパーチェやルカがよく利用するというバール。そこでフェリチータお嬢様含めた四人が今日夕食を取るというので、私も何故かここに呼び出された次第だ。はあ…せっかく皆の食事を用意するという仕事が減るからゆっくりできると思ったのに…。まあしかし、たまには他の人の料理を食べるというのも楽しい。息抜きになる。もぐもぐと辛味のアラビアータを口にふくめ、時計をちらりと見た

「…にしてもパーチェもルカもお嬢様も遅いね」
「あー…剣は確か今日、港のほうの巡回だからなァ」
「港かあ…それじゃこの店から大分遠いもんね。で、パーチェは?」
「ダンテに仕事頼まれたから少し遅れると」
「ふーん…」
「…にしても相変わらず随分美味そうに食うよなァ、ポプリは。お前、食ってる間が一番幸せそうな顔するよな」
「…?普通じゃない?美味しいものは美味しいし。お腹いっぱいになったらそれは幸せだし」
「…ハハッ、なるほどなァ」
「な、なにその含み笑い。もしかして、またバカにしてる?」
「いんや?無邪気で可愛いやつだなって惚れ直してたとこさ」
「…惚れ直した、って…まーたデビトはそういう…」
「何だよその反応。冷たくねえ?」

ちょっぴり眉間に皺を寄せながらも口角をニヤリと上げるデビトに、私は「…だって、毎日のようにそういう歯の浮くような台詞を言うしさ…」と呟き、ワイングラスをくるくると手の中で回した

「んだよ、拗ねてるわけか?」
「そんなんじゃないけど……デビトはいつもそういう話題の反らし方するから、よく分からないなあって」
「甘い言葉でシニョリーナ達を愛でるのは立派なレガーロ男のたしなみだろーが」
「…前から思ってたけど愛でる、ならもう少し大切にしたほうがいいんじゃない?」
「あ?何を?」
「言葉の有り難みが薄れる、というかさ。あんまし言葉を振り撒いても効果はないんじゃないかなー、なんて…」

好きだって気持ちは口にするのさえ、勇気がいることなんだから並大抵の人間なら。…もし口に出せたなら次のステップ。貴女のことが一番なんだよ、特別なんだよって気持ちを先に出すべきだというか…。デビトは何となく、そのへんの女心が分かっていない気がする…なんて。私みたいな恋愛経験ほとんどないうえに、あんま女の子らしくないやつからアドバイスされても仕方ないだろうけど。そう思ったがデビトは案外私の言葉を聞き流してはいなかったらしい。「ふうん…なるほどな、」なんてニヤッと笑みを浮かべていた

「…ハ、まさかポプリに恋の教えを受けるとはなァ。俺もまだまだだな。しかも…」
「ん?」
「しかも、口にべったり真っ赤なソースつけたお前に」
「?!えええ、どこ、に…」

次の瞬間、デビトの顔が至近距離まで近づいた。そして口元には妙な感触が。…舐められたのだ、デビトに。あろうことか唇からほーんの少しだけ離れた場所を。(最早ほとんど唇らへんだが)

「!っ…デ、デビト!」
「おー?何だ、そういう可愛い顔もできんじゃねーの」
「は、はあ?」
「リンゴみたいに顔真っ赤にしてよォ…、ハハッやっぱポプリはまだまだガキんちょだな」
「!?ばっ…バカ!デビトのバカ!エロ魔神!タラシ!」
「そういうとこも含めてガキんちょだって」

うがー!と怒る私の頭をバカにしたようにポンポンと撫で、デビトはケタケタと愉しそうに笑う。くっ…ムカつく…!マジでふざけんな…!

「ー…あ、いたいた!おーいデビトー、ポプリー」
「ごめんね待ち合わせに遅れちゃって」
「二人ともお待たせしてすみませ…」
「あああもうルカが遅いから私はデビトに変なことされたんだよコノヤロおおお!」
「へぶっ!?」
「あ、ルカちゃんが吹っ飛んだ」

腹いせにルカにパーン!と腹パンを決め、私はテーブルに自分の分のお代を置いた。あああもうセクハラ反対!本当にデビト最悪!デビトのあほ!「ポプリ…?」と不思議そうな顔をして呼び止めてくれたフェリチータお嬢様には多少罪悪感を覚えたが、私はデビトに「このエロ魔神!これから暫く私の半径5メートル以内に近寄ることを禁ず!!!」と捨て台詞を吐き、バールを飛び出した



「?…ポプリとまた喧嘩したの?デビト」
「いや?」
「じゃあ何でポプリは真っ赤な顔して怒ってたの?」
「それはポプリがバンビーナと同じでまだまだ可愛いガキんちょってことさ。…ククッ、早く俺好みの女になってほしいもんだな」
「「??」」
「…つまり私は全く無関係に殴られたわけ…ですか……」


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こんな日常。ルカが常に可哀想

デビトさんは原作だと語尾が〜ダロ?とか片仮名なんだけど、なかなか執筆で書くの難しいです



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