「…はあ?この薬を飲んでみろ?」

目の前にあるティーカップには、蛍光色の黄色い液体が入っていて。私は唐突にそれを手渡してきたジョーリィをぎろりと睨み返した

「……たくさん聞きたいことはあるけれど。まず、これはなんなの?」
「フ…これは私のここ数週間の実験によって完成した、試験薬さ」
「…じゃあ、次の質問。何で私がこんな得体の知れないもの飲まなきゃいけないの?」
「聞きたいか?」
「当ったり前でしょ」
「なら教えてやろう。まず一つ、この試験薬の効能から考えて被験者にはお前が一番適していると考えたからだ」
「?は、はあ…」
「そして2つめ、それはお前がこの試験薬を飲めと私に言われてお前はそれを断れないからだ」
「!?な、何で!意味分かんないちゃんと断るっての!」
「ー…ポプリ、お前は確か1ヶ月ほど前に私とポーカーの勝負をして負けたな?」
「(!ぎくっ)」
「お互い何か賭けようと勝負したものの話が流れてしまった。そうだろう?」
「……」

…そう、私はあの時ジョーリィとポーカーの勝負をした。確かそれはデビトのカジノで「ポーカーにしてもルーレットにしてもすぐ負けて大損しちまうお子さまは、ここに来るべきじゃないぜ?また財布空にされたくないだろ?」なんて笑われた後だったと、思う…ああ何て単純なんだ私は。事もあろうにカジノを追い出されてから館でジョーリィとポーカーをするなんて。どんだけストレスだったの

「私はその時の賭けで交わした約束を、今使おう。…まさかポプリは約束を守れないような礼儀知らずではないだろう?」
「〜っ、……………これ、飲んでも死なない?」

そうジョーリィに渋々尋ねれば、ジョーリィはククッと静かに笑い声をあげ「ポプリは物わかりがよいうえに、無駄に大きいプライドを持っていて助かる」と呟いた。む、むかつく…!マジでデビトじゃないけど、何なのこの人…!

「…実は先日のアッシュの件で今一度不老不死について研究したくなってね」
「?不老、不死…?」
「その実験の末に出来た試験薬だ。死ぬ、どころかそれを飲むとたちまち調子が良くなり精力がつくといった寸法さ。安心して飲むといい」
「…私、不老不死とか、そういうのには興味ないしなりたくないんだけど…」
「安心しろ。そんな薬が完成しているなら、とうに自分で試している。それは健康栄養剤のようなものだ」
「?ふーん…」

…まあ、約束は約束だし。ジョーリィのことは信用しかねるけど、生き死に関わる危ない薬っぽくもない、し…うん。……よ、よし。私は「…ジョーリィ、これで貸し借りなしになったからね」と念を押し、ティーカップに入った黄色い液体を飲んだ

「!?んっ…」

ー…飲んだ瞬間。薬独特の苦味が口に広がったかと思えば、しゅるると視界がみるみる下がっていった。…な、なに!?何で?というか、目の前のジョーリィが大きく見えて…

「…ほお、なるほどな。やはり肉体のみの若返りまでしか私には出来ないか」
「は、はあ?じょーりぃ、なにがあ…」

…?な、なんか私の声こんな高かった?というか、何故舌っ足らずなの…?今の状況が分からないと疑問符を浮かべる私を愉快そうに見つめ、ジョーリィはそのまま私を抱き上げた。!?え、えっ?私そんな簡単に持ち上げられるほど軽くは…

「…よく見てごらん?自分の手足が小さくなっているだろう?」
「!?え…」
「私が大きくなったわけじゃない。君が、小さくなったんだ」
「ちい、さく…?」
「不老不死の研究の末路ー…それはつまり肉体の若返り。幼児化だ」
「!?!?」



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とんでもシリーズ始まり



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