「おー…本当だあ」
「ねっ?ポプリ、だから言ったでしょ?」
「見事なもんだよなァ特異体質っつーか変態体質っつーか」
「…で?アッシュが鏡を見るとトラの姿に変化するのはよく分かったけど。何でアッシュは今トラの姿になってんの?」

噂を聞いてアッシュに「トラの姿見せて!」とせがんだ私に、アッシュは「嫌なこった。そんなにほいほいとやるか」と頑なに断っていたばかりだ。…そのアッシュが、何で?

「いやー実はさっきバールで食事を取ってたんだよね」
「アッシュと?」
「うん。俺達三人とアッシュで」
「そしたらアッシュが口にソースをこぼしてしまって…」
「ついパーチェのバカがアッシュに鏡を見せちまったわけさ」
「えへへ、ついうっかり〜」
「……」

「アッシュほら、口にソースついてるよ見てみなって!」なんて意気揚々と鏡を見せるパーチェの姿が目に浮かぶ。…ああ、まあそれは不慮の事故って感じ、なのかな?なんにしてもアッシュ可哀想

「それで?どうすれば元の姿に戻るの?」
「確か……リンゴを食べると元に戻れるそうですよ」
「リンゴ?なにそれ変なの」
「だよなァ?リンゴ食えば戻るなんてますます不気味な変身だよなァ?」

鏡見たらトラに変身してリンゴ食べれば人間に戻るって、最早それはどんななの。変だよ変。そう言葉を紡げば、アッシュにガオー!と吠えられた。…どうやら怒ってるらしい。毛が逆立ってる

「でも、元はと言えばアッシュが実験失敗した薬を飲んだのが原因なんでしょ?全くもう…錬金術師は変人でどっか抜けてて後先考えない人が多いなあ」
「グルルル…」
「…ポプリ、何で私のほう見て言うんですか」
「ルカが変人な錬金術師の筆頭だから」
「ガーン…!」
「それで、リンゴはどうしよっか。リンゴの味がすれば何でもいいのかな?」
「何かあんのか?」
「アップルパイならあるよ。さっきマーサと作ったの」
「!アップルパイ!いいなー!俺食べたいー!」
「ガオー!」
「……」

お皿の上のアップルパイにがっつきそうなパーチェを、アッシュが必死に威嚇し食い止める。…「そんな場合じゃねーだろ大食いバカ!」なんてアッシュの台詞が聞こえてきそうだ。「パーチェ、アッシュが可哀想でしょ」とパーチェの頭をゴン!と地面に打ち付け、私はアッシュにアップルパイの皿を差し出した

「はい。じゃあ、アッシュあーん」
「ガオ!?」
「……は?」

アップルパイをフォークに一口分すくいアッシュの口元に差し出せば、デビトに「…ポプリお前なにやってんだよ」と腕を掴まれた。?は、はい?

「何って…アッシュにアップルパイをあげるの」
「何でお前がコイツにあーんをしてやる必要があんだよ。そのまま食わせろよ」
「そのままって…皿をそのままってこと?嫌だそんなの。せっかく作ったアップルパイを犬食いされちゃ困る」
「相手はトラなんだから犬食いで結構じゃねーか」
「ちゃんと味わって食べてほしいの。というか、いつも私の料理食べても何にも言ってくれないデビトにとやかく言われたくない!」
「は?今は関係ねーだろうがそんなの」
「関係ある!」
「グルルル…!」
「ちょ、ちょっと二人とも…!アッシュが早くしろー!って言ってますよ?たぶん」
「いいなあー俺もポプリにアップルパイをあーんしてほしーい!」
「「パーチェは黙ってろ!(黙ってて!)」」
「へぶっ!」



−−−−−−
カオス…!パーチェは気絶し、暫くはデビトと夢主のお嬢さんの喧嘩が続きます



戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -