「えっ?身長を伸ばすにはどうしたらいいか?」
「ばっ…大きい声を出すな!」
「!むぐっ…」

ノヴァにばちん!と口元を手で押さえられ、私は「い、いひゃい…!」と声にならない悲鳴をあげた。うう…ノヴァ、力強すぎ…!大丈夫だよ周りに人いないし…!

「!…す、すまない。少し取り乱した…」

ハッと我に返ったらしいノヴァは眉を下げ気まずそうに視線を反らした。…うああ、ノヴァのこういうまだ子どもらしいところがなんか可愛くて仕方がない…!年下の子にこんなしゅんとした顔見せられたあげく、聞かれた内容が「どうすれば身長を伸ばせるか。」…ノヴァ本人に言ったら切られかねないけど、本当可愛い。純粋で。年上組のデビトやジョーリィ達とは大違いだ。…ノヴァ含めリベルタやお嬢様もこんな風に真っ直ぐ育ってほしいなあ

「んー、"寝る子は育つ"って諺っていうのがあるってマンマが昔言ってたけど…」
「それは僕も聞いた。ジャッポネの言葉らしいな」
「うん。ジャッポネって色々面白いよね本当に。…でも、ノヴァがわざわざ私に聞きに来たってことは、"何を食べたら身長を伸ばせるか"を聞きたいんだよね?」
「……ポプリは相変わらず話が早いな。そうだ、僕はそれが知りたい」

「パーチェなんかとは大違いだ」と少し関心したように言うノヴァに「…パーチェみたいな空気が読めない人と一緒にしないでいただけると有り難いです」と苦笑いを返し、私は顎に手をあてた

「んー…何を食べれば、かあ。まず、乳製品というか牛乳自体よく飲んだほうがいいかな」
「牛乳か…」
「まあ牛乳をたくさん飲んでお腹が膨れるより、チーズ1日に何個かおやつ感覚で食べる方が楽かもしれないね。チーズはカルシウムだけじゃなくて貴重なたんぱく源でもあるし。成長ホルモンの分泌に影響のあるアルギニンも豊富に含んでるから」
「…なるほど、」
「その他には…うーん、マグネシウムの豊富なバナナは1日1本食べるといいかも。あとは…レガーロ島だったら海が周りにあるんだし、魚介類や海藻類はよく食べるべきだよね」

「そうだ、リベルタに頼んでおけば?魚介類やら海藻類を取り揃えるの」と提案すれば、「それは絶対に嫌だ」と素早く拒否された。…それはリベルタに頼る行為もそうだし、事情を聞かれるのも嫌だからなの…かな。そう尋ねれば、分かってるなら口に出すなと怒られた。…す、すみませんでした

「…だが、ポプリに話して正解だったな」
「えっ?」
「実に有意義な助言を貰えたし、僕の相談に対して真摯に対応してくれた。…ファミリーの他の人間じゃこうはいかない」
「そ、そう…かな」
「ああ。まずリベルタに話すのは無理だとして。ジョーリィやデビトに話せば相談内容を口にした時点で馬鹿にされるに決まっている」
「……それは確かに」
「ルカやパーチェは話を切り出したところで話をおおっぴらにされるはずだ」
「……まあ空気読めないもんねあの二人」
「フェルにはその…や、やっぱり話したくなかったからな」
「それは…男の意地、てこと?」
「………まあそうなる、な」
「じゃあダンテとかは?」
「ダンテに話せば八割ぐらいの確率でリベルタに話が漏れる」
「な、なるほど」

…頼りにされるのは嬉しい、けど。逆に言えばノヴァにとっては、今までなかなか悩みを相談しやすい環境じゃなかったのかもしれない。…普通ならファミリーの相談役のポストにいる人間が、相談されやすい雰囲気にすることべきなのに。肝心なジョーリィがあんな感じの人間じゃなあ…。私はノヴァの顔を覗きこみ、「えっと…他にも悩み事があったらいつでも相談してね?無理しないでね?」と言葉を紡いだ。

「…また子ども扱いか」
「えっ?そ、そんなつもりないよ。ただ少し心配だったから」
「僕はそんなに弱くない。…今回は別だが、悩み事なら大抵は自分の力で解決する」

むっと鋭い目で睨んでくるノヴァを、私は少しだけ見下ろす形に。…私のほうがやっぱりノヴァより少しだけ身長は高いんだよねこうして見ると。確かノヴァはフェリチータお嬢様よりも背が低かった気が…。いや、でも、うーん……

「……おい、何故僕のことをそんなに見つめる」
「…いや、私ノヴァはたぶん将来すごく身長伸びると思うんだよね。今そんなに焦って何かしなくても」
「…?何でそう思うんだ?」
「だって、ほら」

私はグイッと目の前のノヴァの両手を引き、ぱちんと自分の手と合わせた。それを見て最初はぽかんとしていたノヴァだったが、そのうちその顔がみるみる赤く染まっていく

「!っ…お、お前何を…!」
「あーほら、やっぱり!ノヴァの手、私より大きい!」
「……は、はあ?」
「ノヴァってさ、身長のわりに手が大きいじゃない?手足が大きい人って身長大きいって言うもん。だからノヴァはこれから絶対伸びるよ」

そう言ってにこにこと微笑めば、ノヴァに「手っ…手を離せ!」と怒鳴られた。あ…ごめんごめん。私の手とノヴァの手の大きさがどれだけ違うか知りたくて…なんて言い訳じみた言葉を並べ、ノヴァの手をぱっと離す。が、次の瞬間後ろからガンッと何かが落ちる音がした。?ん?

「っ、ななな…ノヴァお前なにして…!」
「?!リベルタ!」
「あれっ?リベルタ…いつの間にそこに。それにダンテも」
「ハッハッハッ、いやあノヴァに報告書の確認してもらおうと思っていたんだがなあ〜…どうやら取り込み中のようだ」
「?取り込み中?そんなことなかったけど…」
「いやそれにしても二人はこうして大きくなった今でもそんなに仲が良いなんて。感心感心、若いってのはいいな!」
「ダ、ダンテ!誤解だ!僕たちは別に何も…」
「ノヴァお前…このことデビトが知ったら暫く虐められるぞ?大丈夫かよ?」
「だっだから誤解だと言っている!!」
「??」

ニヤニヤとした笑みを浮かべるリベルタに何か言い返しつつ、ノヴァが腰の刀に手を伸ばす。「ちょ、ちょっとダンテ…!止めなくていいの?」と慌てたように彼に聞くも、「ポプリ、このことはデビトに内緒にしとこう。約束する」とよく分からない返事が返ってきた。…いや、どういうこと…?ケンカ止めなくていいの?というか何故ここでデビトの名前が出てくるの…?


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結局色々騒ぎになったり



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