◎原作でルカがマンマとフェリチータと三人で暮らすことになる前の話



「ルカあ〜」
「!?」

バンッと勢いよくルカの部屋のドアを開け放ち、私はつかつかとルカの座るソファーの元に歩み寄った。するとルカは何やら机の上で何をしてたのか、わたしから隠すようにあわあわと机を片付けて始めた

「ノ、ノック!ポプリ!人の部屋に入る時はまずノックをするべきですよ!」
「いや女子か」
「もし私が着替え中だったりしたらどうするんですか!」
「だから女子か」
「大体、年頃の女性が堂々と男の部屋に入るなんて非常識ですよ!」
「えー……だってルカだもん」

そう即答すれば、ルカはすごく複雑そうに「…私は男として意識されてないってことですか…」と眉をひそめていた

「?男として意識されたいの?」
「いや…そりゃ普通はそうですよ」
「そういうのは友達(わたし)じゃなくて、ルカが好きになった女の子だけに意識してもらえばいいんじゃない?」
「……」

「それはまあ…そう、ですかね…いや、うーん…」と勝手に考えこむルカを放っておき、私はベッドの上にドスッとダイブした。後ろから「やりたい放題ですね…」と心底迷惑そうな声色が聞こえたが…うん、ルカだからまあいいや。大目に見てください

「…で?ポプリは何で私の部屋に?」
「ん…、ちょっとルカに会いたくて」
「…へっ?」
「ルカ、明日からファミリーの館じゃなくて島の奥にある離れでマンマとフェリチータお嬢様と暮らすわけじゃない?」
「え、ええ。まあ…」
「もう暫く館じゃ会わないんだなって思ったら、少し寂しくなって」

その経緯は分からないけど、パーパの話を聞く限り数年は三人で暮らすことになるんだろう。…今までパーチェやデビトやファミリーの皆と一緒に館で生活してきたルカ。それが、今回のことで彼の生活は大きく変わっていく。昔からパーチェとデビトとルカと私はいつも一緒につるんでいたのに…それも、少し付き合い方が変わっていくのだろうか

「あの離れの家、館からも市場からも大分遠いよね。周りは森だし」
「…そうですね」
「デビトやパーチェも私も普段は仕事してるし、暫くはまた四人でバールで昼食とる機会なんてなくなっちゃうね」
「…そう、ですね」
「実験も暫くはやらないの?」
「…ええ。あの小さな家にはそんな実験室のような機能を持った部屋もないですから」
「そっかあー」

ごろーんとベッドに寝転がり、ルカにちょいちょいと手招きをする。それに何とも素直に応じてくれたルカに少しだけ苦笑いをし、私はルカの頭の上の帽子をひょいと取った。そしてその帽子をすぽすぽと自分の頭に被せたりする

「…でも、悪いことばっかじゃないよね。フェリチータお嬢様みたいな可愛い女の子と一緒に暮らせるなんてさ。マンマも綺麗で優しいし」
「……そうですね。お嬢様みたいな素敵な方の世話係を申し付けられるなんて、パーパに感謝です」
「うわ、でたよロリコン。幼女好き」
「い、今の話の流れから何でそうなるんですか!!」

むむむと眉をひそめ怒ったルカに「変な性癖に目覚めたりしないでよー?」とまた笑い返し、私はルカの頭にポスッと帽子を乗せた

「昔から一緒だったのにねー。なんか変な感じだなあ、明日からルカと離ればなれになるなんて」
「…ポプリ…」
「ねえ、たまにそっち行っていい?フェリチータお嬢様とも遊びたいし、ルカやマンマともお話したりしたいし」

「お菓子とか作って持っていくからいいでしょ?ねっ?」と尋ねれば、急にルカがぷっと吹き出した。そしてくすくすと身体を震わせ笑う。…??えっ何で?

「な、なに笑ってんの!」
「ああ、すみません。ポプリがまさかそんな可愛いこと言うだなんて思わなくて」
「……それ失礼じゃない?仮にも女の子に対して」
「いえ、褒めてるんですよ

…いや、褒めてなんかないでしょ。ルカのくせに皮肉とか…!らしくない!そう怒れば、「皮肉なんかじゃないですよ」と綺麗な笑顔を返された。…?どういうこと?

「??よく分からないけど…遊びに行ってもいいんだよね?私は」
「ええ。パーパも特に何も言わないと思いますよ」
「じゃあ私、週5くらいで通おうっと!」
「そ、それは多くないですか?ポプリだって仕事があるのに…」
「そんなどうにでもなるよ仕事なんて。パーチェとかデビトとか引き連れて遊びに行くからねー」

「だから、きっと私たちはあんま今までと変わらないよ。ルカ」とにっこり微笑めば、ルカは少し間をあけた後に「……そう、ですね」と微笑み返してくれた。…きっと、これからも同じ。またパーチェやデビトや私やルカでぎゃあぎゃあ騒いで笑って。私たちの仲は変わらない。私たちを取り巻く世界は変わらない

「お嬢様が大きくなったら五人でバールに行ってお酒でも飲もうね」
「ふふっ、それは随分先の話になりそうですね」
「えー?そうかなあ」


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ルカも本当は不安じゃないのかなとか色々考えてたヒロインさん



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