April.15_10:57


「本当総悟頼むよ〜茜くんもせっかく研修に来てくれてるんだし…このままじゃ俺、とっつァんに怒られちゃうよ〜」
「でも近藤さん。研修生に仕事を教えろだなんて言われても、俺には何すればいいかさっぱり分かりやせんぜ?元々仕事なんか滅多にないし」
「それは総悟、おめーだけだろうが。周り見渡してみろ、お前がやるべき仕事なんざ山程あんぞ」
「土方さんは黙ってて下せェ」
「あんだとコラ」


あの研修生とやらが来てから3日めの朝。俺は近藤さんと土方に呼び出された。…まあ当たり前か。確かに今日までで俺が研修生(あいつ)としたことといや、外回りと称して惰眠して1日ボーッと過ごして、ファミレスで土方コノヤロー暗殺計画を談義しただけだもんな


「…ハァ、まあこんなことも予想はしてたがな。仕方ねェ、総悟お前には特別に仕事を与えてやる」
「仕事?」
「やることなくて暇を持て余してるくらいなんだろ?良かったな、感謝しろよ」
「………」


そうニヤリとむかつく笑みを浮かべ、土方は俺にある書類を手渡してきた。…何だか面倒くさいことになりそうだ。マジで死ねよ土方コノヤロー。昨日アイツからもらった暗殺の七つ道具、ここで今使ってやろうか






**






「検問、ですか?」
「ああ、最近は攘夷浪士共の活動がやたら頻繁になってきたからねィ。土方コノヤローに任されたんでさァ」
「でも、そういうのって普通は奉行所とかがやってくれません?あとは見廻り組とか…」
「最近数十名の幕吏が殺された事件があったろィ?
「!ああ……、そうでしたね」
「何でも奴らはあっちの方の処理に追われてるらしいぜ。犯人の浪士さえ判明してないらしいからねィ」
「…犯人、まだ幕府は分かってないんですか」
「らしいぜ。土方さんが朝からワーワー騒いでやした」
「……」


そっか…そうなんだ。私はホイッスルを片手に、目の前の道を行き交う乗り物やらを見やった。ー……ダメだ、今は検問に集中しなきゃ。ため息1つして、沖田隊長の方を振り向く。が、沖田隊長は既にアイマスクをしたまま壁に寄り掛かっていた。…寝るの早い。もしかしてこれは私が一人でやらなきゃいけない感じ、なのかな…?早速。そんな時、私達の目の前を一台のバイクがものすごいスピードで通り過ぎた


「!あ…そこの原付バイク止まって下さーい。検問ですよ検問ー」
「…銀さん、なんか言ってますよあの人」
「無視しろ新八、無視だ」
「え、大丈夫ですかね。あの制服、真選組じゃないですか?」
「なら尚更だろ。捕まったらますます面倒くせーことになるに決まってる」
「…?」


2人で何かコソコソ喋ってる…?…なんか怪しいな。とりあえずは何とかしてあのバイク…もとい、眼鏡の少年と銀髪の青年を止めないと。私は懐から小刀を一本取り出した


「…とりゃっ!」
「「!?ギャアアアアア!!」」

ー…ガッシャーン!
「あ、止まってくれたんですね。有り難うございます」
「くっ…お前に止まらされたんだろうが!ふざけんな!」


私が投げた小刀は見事バイクのタイヤに突き刺さった。おかげで原付バイクはそのまま横転し、乗っていた二人は転がり落ちた。…ちょっとやり過ぎました。すみません。てへぺろ。が、起き上がるなり銀髪の青年は「俺のバイクがァァ」なんて頭を抱えていた。あら、丈夫な人だ


「てめえいきなり何しやがんだ!パンクしてんじゃねーかコレ!!」
「すみません。検問です」
「いや知りませんけど!下手したら死ぬとこだったじゃないですか!」
「お二人が不審な動きをしていたので。あと、バイクの二人乗りは危険です」
「お前のほうが危険だろ!」


地面に倒れる眼鏡の男の子に手を差し伸べながら、私は沖田隊長の方を振り返った


「沖田隊長、この人達どうしま…」
「ふざけんなよこのサドが。私達は今急いでるネ。そこをどくヨロシ」
「うっせーな。スピード違反だって言ってんだろ。一体時速何キロで散歩させてんでィ、このアホ」
「あんだと!?もう一回言ってみろやクソガキィィ!」
「ガキはおめーでィ」
「……」


沖田隊長は…チャイナ服の女の子と喧嘩していた。あれ?一体どちらさま、ですか?というか犬もスピード違反の対象になるんです?





***






「すいませんねィ旦那方。コイツ新人なもんで加減を知りやせんで」
「本当にすみませんでした…。修理代は私が持ちますので、何とぞご勘弁を…」


ー…結局検問をした結果、この人達は攘夷浪士とは全くの無関係で。むしろ、沖田隊長や近藤局長や土方副長のお知り合いの方達だったらしい。真選組自体も何度かお世話になったことがあるとか。(ただ仲が良いわけではないらしい)


「…ま、金出してくれるってならいいけど。つーか真選組ってまた1日局長雇ったわけ?可愛い顔してるけど、あいにくテレビじゃ見たことねーなァ…あ、売れないアイドルか何か?」
「ちょっと銀さん!失礼ですよ!」
「まあアイドルなんか雇ったところで、お前ら真選組に今更イメージアップなんか無理アルけどな。プププ」
「黙れチャイナ。…違いますよ、コイツは10日間限定で真選組(うち)に勤めることになった、研修生でさァ」
「あ?研修生?」
「進藤茜と申します。以後お見知りおきを」


ペコッとお辞儀を一つして顔を上げれば、やはりどこかで見たような顔ぶれ。…特に銀髪の青年。この銀色のくるくるした髪に、死んだ魚のような目は確か……


「ー…あ、思い出しました!あなた、坂田銀時さんですよね?」
「?そうだけど」
「あれ?何で銀さんのこと知ってるんですか?」
「茜、お前旦那と知り合いだったのかィ」
「違います、さっちゃんがいつも話してくれていたので。もしかしたらそうかなって」
「「「!!?」」」


「さっちゃんって…さっちゃんのことアルか…?」「そ、そうみたいだね…」なんて眼鏡の男の子とチャイナ服の女の子がコソコソ喋る。…さっちゃんが言ってた万事屋の神楽って女の子と新八って男の子も、きっとこの子達のことなんだろうなあ。まさか実際に会えるだなんて


「何でィ、お前あのドM女とは知り合いなのかィ」
「はい。松平様経由でまあ…昔からの馴染みなんです。沖田隊長もさっちゃんのこと知ってるんですね」
「ああ、人気投票編の時に殺り合った仲だからねィ」
「?人気投票?」
「…つーかあの女はおめーに俺のこと、何て喋ってやがった?」
「え?」


怒気を含んだその声の主…もとい坂田さんに視線を向ければ、その人物はビックリするぐらい瞳孔を開いていて。っていうか、あれれ?もしかして何か怒ってる?


「?えっと…さっちゃんの話では坂田銀時さんはさっちゃんの恋人で。毎夜毎夜さっちゃんが意識ぶっ飛ぶまでヤリ倒す鬼畜だって聞きました。…あ、SMプレイとかすっごく上手いんですよね?」
「いやそれ誤解ィィィィ!!何言ってくれてんだあの雌ブタアアア!!」
「まあまあ、合意の上でヤッてるんだから自分を卑下することないですよ。さっちゃんもいつも"銀さんに雌ブタって罵られるとたまらなーい"とか言ってましたし」


「仕事で会うといつも惚気話聞かされるんですよ。坂田さんの写メとかも送られてくるし」なんて坂田さんをこずけば、横からチッという舌打ちを聞こえた。?私…なんか悪いこと言ったかな?


「?あの坂田さ…」
「キャアアアア!!」
「「「!」」」
「な…何ですか今の悲鳴!」
「あっちの方からしたアル」
「行ってみましょう!」
「お前に仕切られたくないネこの税金泥棒」
「あっすみません」
「……あーあ、まだ屯所に帰れねーのか」
「ちょ…沖田さんあんた警察でしょーが!何で寝る体制になってんですか!?」
「(……面倒くせーことになってたなあオイ)」


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ちょっと強引な展開で申し訳ない






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