April.24_14:14


「…、はぁ、はぁ…っ」

滴る赤い血を拭い、私は刀を支えにその場に崩れ落ちた。…周りは見渡す限りの血の海。倒れている天人共は最早ただの肉塊と化している。ベッタリとついたこの血は自分のものなのか、それとも彼らのものなのか…よく分からない

「フ…よくもこれだけ暴れたものだなァ。やはり茜、お前は地球人にしては素晴らしい素質を持っているな」
「!っ、ァ…」

崩れ落ちた私の膝に刀が突き刺さる。私は身体がもう動かないことに内心舌打ちをうった。ー…ダメだ血を流し過ぎた…。やっぱり数では勝てない。まだ何人も残っている天人達を後ろに下げ、厳骸様は抵抗することも出来ない私の髪の毛をグイッと掴み、無理矢理頭を上げさせた。そして、私の耳元でこう囁く

「…1人で何とか出来ると思ったか?」
「……そんなことは、思ってない…です。ただあなたがしたこと、私は許せないから…私は私で、行動を起こしたまでです」
「それで此処から逃れられるとも?」
「…!っ…」

目を見開き驚く私に、彼は至極愉しそうに言葉を紡ぐ。私が何より望んでいたその言葉を…

「…茜、今日のことは見逃してあげよう」
「!?な、何言って…」
「その代わり今日からはお前を罰として手錠と首輪をして牢に閉じ込めておこう。飼い犬らしい扱いだろう?」
「っ…そんなことさせられるぐらいなら、私はここで舌を噛みきって死ぬ!」
「フ、お前が死ねばお前の大好きな"真選組"は無くなるぞ?いいのか?」
「!!」

「死ぬことは許さない」と再度言い聞かせると、彼は刀で私の隊服をビリッと裂いた。あまりの屈辱に顔を歪ませれば、彼はさも可笑しそうに笑う

「ハハッ、お前は私の"玩具"だ。持ち主から逃げられはしない」
「っ…」
「お前がもし大切にしたいものがあるなら…それらとは関わらない生き方をした方が利口だと思わないか?」
「!……」

関わらない、生き方…?真選組と…沖田隊長と関わらない生き方を私が望めば、この人は真選組を助けてくれるんだろうか…?私と関わることがなければ、沖田隊長はこれからも笑って過ごせるのだろうか…?沖田隊長は…私と出逢わなければそれが良かった…?私が…沖田隊長を苦しめてる…?

「お前に関わった人間は不幸だな。お前1人の我が儘のせいで、その身を危ぶめるんだから…」
「!…」

…何で望んでしまったんだろう。あの温かな光は、もともと私には手に入れられなかったものだったのに。最初から…私には逃げることも出来なかったのに。ぽろぽろと溢れる涙をそのままに、私は飼い主に頭を下げた

「…分かり、ました。あなたの言う通りにします。だから…真選組(あのひとたち)には危害を加えないで下さい。今回のことは…私1人の問題です」
「フ、分かればいいんだ。では後で誰かに手錠と首輪を持ってこさせるとしよ…」
「へぇ〜、茜はそんなプレイがお好みだったのかィ。そりゃますます俺と相性が合いそうだねィ」
「!?なっ…何者だ!?」

聞こえてきた声に思わず顔を上げた瞬間、目の前の襖が爆風と共に吹き飛んだ。そしてそこからバズーカを片手に部屋に乗り込んできたのは…私がずっと、心に思い描いていた人物だったー…


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さあ、全ての決着を






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