April.12_12:03


桜の花がひらひらと舞い落ちる季節、春。温かなこの季節になると、何となく心踊る。もちろん私も例外じゃない。春は好きだ。気持ちが明るくなるから。そんな風に口元をニヤニヤと緩ませる私を、隣を歩いていた松平さまが「随分ご機嫌みたいだなァ」なんて小突いた


「そんなに楽しみか?」
「え?」
「なんだ、念願が果たせて喜んでるわけじゃねーのか」
「あ…いえ!楽しみですよ。ずっと夢みてたんですから」
「…はあ〜俺には分からねェなァ。あんな悪ガキ共のいる、むさ苦しいところで働きたいなんざ」
「ふふっ、皆さん松平さまの部下ですよ?」
「あいつらの勝手な行動には上司の俺は苦労させられてんだけどなァ」
「局長ォ!松平のとっつァんが到着しました!」


門番の係をしていた隊士さんに会釈をし、私と松平さまは真選組の門をくぐった。ー…これが、私の第一歩なんだ。私は改めて腰に差した刀をぎゅっと握りしめた。新しい始まりに、胸がざわつく…






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4月のある日。松平のとっつァんが一人の少女を連れて、真選組屯所を訪れた。その状況を見て、俺は思わず「…とっつァんが女を連れ込むなんて、まさか不倫…?」と疑いを口にする。が、途端に松平のとっつァんに銃をバーン!と発泡された。えええ…いきなり酷い…!だって真選組に女を連れ込むこと自体、異例じゃないか…!


「ったく失礼なゴリラだ全く……」
「ま、松平様落ち着いて…!」
「……」


俺は怒り狂う松平のとっつァんの隣に座る少女にちらっと視線をやった。ー…黒く長い髪を垂らした、まだ顔にあどけなさが残る少女。少女は傍らに大事そうに刀を携えている。?不倫相手じゃないなら彼女は…?


「え、えっと…とっつァん。その娘は一体…?」
「あー紹介がまだだったなァ。この子は進藤茜ちゃん。俺の昔からの馴染みで、幕府官僚専属の護衛としてウチで雇われてんだ」
「へぇ…その歳でしかも女の身で幕府に仕えてるなんて、余程腕が立つんでしょうなァ」
「い、いえそんな…恐縮です」


ぺこりと頭を下げ、少女は「まだ私なんて未熟者です」と言葉を足した。…はあー謙虚な子だなあ。見た目からして総悟と同じくらいの年だろうに…何でこんなに落ち着きがあるんだろうか


「んで、話を戻すけどよォ近藤。明日から茜ちゃん、お前らのとこで住み込みで働くことになったから」
「!へっ?お前らのとこでって…まさか……」
「真選組で、に決まってんだろ。あとはよろしく頼まァ」
「…!?!?」


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屯所に近藤さんの絶叫が響きました





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