花を、踏み潰した。一歩一歩前へ進む度、花を潰した。それを誰かが仕方のないことだと目を伏せた。はたまたどこかで酷い酷いと啜り泣く声もする。あなたは悪くないよと肩を叩いたやつもいた。結局俺はそうやって隅っこに押し付けられて泣いていたのかもしれない。
「真田」
「なんだ」
「俺は間違っていたのかな」
「何を言っておるのだ」
「はは、なんかね」
「お前が間違えたときは、容赦なくひっぱたいてやるから安心しろ」
「頼もしいなあ」
踏まれた花は枯れてしまったけれど、また新しく蕾をつけた。同じように踏みつけたけれど、同じように蕾をつけた。
「行くぞ幸村」
「ああ」
もう水はいらなかった。
一緒に歩こう