もう我慢ならない、って兵長は私を抱いた。抱いたなんて綺麗な言い方すぎるけど。そこに愛とか恋とかそういうのが入り交じってるのかはよくわからない。私はただ死んだようにただひたすらに兵長の行為を受け止めた。私はその行為をするのは確か初めてだったけど、それが今更になってどうとかこうとかもうそれすらよくわからないしどうでもいい。感想を言うなれば、余り好きではないブラックコーヒーを飲みたくなるくらいだ。


「兵長、コーヒー飲みません?しっぶいやつ」


兵長の手慣れた動きで余り乱されなかった服を整えて、何事もなかったかのように私は問うた。兵長は一瞬だけ驚いた顔をして、戸惑ったように頷いた。ベッドから立ち上がると腰は砕けたように痛い、が私はそれに蓋をしてキッチンに向かう。ムカついたから兵長のには砂糖とミルクをこれでもかと言うくらいに入れた。飲まないとは言わせない。


「なんだこれは」
「コーヒーです」
「ふざけてんのか」
「コーヒーです」


私の飲んだブラックコーヒーはうえ、と吐きたくなるように苦くて、さっき一瞬でも飲みたくなった衝動はなんだったのだろうと少し前の私に聞きたくなるくらいの不味さだった。


「飲めねえならよこせ」
「あっ、へいちょ」
「てめえはこれだ」
「これは兵長のです」
「いらねえ」


兵長はあのまっずいブラックコーヒーを水を飲むようにぐびぐびと喉を鳴らして飲んだ。その後に私の前に置かれた約三分の二が砂糖とミルクのコーヒーを今度は流すように飲んだ。


「あの、兵長」
「お前の飲めないコーヒーは俺が飲む」
「…はあ」
「お前の汚ない部屋は俺が掃除する」
「いやそれは」
「お前の嫌いなニンジンとグリンピースは食ってやる」
「ほんとですか!」
「だからなまえ、わかるか。お前は俺から離れられないんだ」
「兵長それは、プロポーズ、とやらですか」
「そうともいう」
「兵長、コーヒーでも飲みますか」
「今度はちゃんと上手いのいれろよ」



おどりだす
(「それはそうと兵長、順序って知ってます?」「それはすまん」)



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