何が起こったのかわからない。私の余りにも幼いその脳みそでただ唯一わかったのは、わからないということだけ。涙が出た。恐怖、絶望、足の骨が砕けてしまったように立てない。動けないより動かない、小さな絵画のように動かない。額を壊して手でも引いてくれたらなあ。目の前にある血溜まりから逃げるようにそう考えた。わからないんだ。大きな手のひらが私をつかんだ。それはにんまりと顔をかえる。なんて、幸せそうなんだろうか。
「むかつく、」
体がちぎれる音がした。
この世にお別れを告げたとき
(わたしはとても幸せだった)