あ、よだれ垂れてる。その人を視界に入れて意識し始めたのは安直にも隣の席になったからだ。
私は正直学校のこととかどうでもよくて、人間関係も億劫だし、親が行けっていうから分かりましたって聞いていれば私の人生きっと安泰なんだろうし、そうやって生きてきて間違いはなかったし、私はこれからもそうやって生きていければいいと思っているわけだ。まあ人生そうはいかないから面白いんだよ、と言う人もいるわけだけど。まあそんなわけで私をクズだとか体たらくだとか言ってもらって構わないわけでして。私にやりたいことや興味とか欲が生まれたならばそれは一転するんだろうけど。
後ろから物凄気迫で聞こえる起きろ謙也…!!って声は間違いなく白石蔵ノ介だろう。隣の席の彼を知ったら自動的に彼も知った。左手に包帯を巻いてる残念なイケメンくん。まあ私にとっては白石蔵ノ介もどうでもいい部類に入るのだけれど。
授業そっちのけで隣の席をガン見していたら、彼は突然目が覚めたようでかばっと頭を持ち上げた。きょろきょろして辺りを見回す彼と、豆鉄砲を食らった私とぱちりと目が合う。俺寝てたん?!と言った顔を見せた彼に、私は自分の口の端を叩いた。


「よだれ、ついとるよ」


その瞬間彼は真っ赤にゆで上がった。本当にゆでだこみたいになる人存在したんだと思わず関心の声をあげた。
忍足謙也。彼が私の中で大きな存在になるのはまだ先の話し。


リンゴボーイ


(20140904)



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