「幸村くん結局ずっと好きだったよなあ」
「はは、なんだい急に」
「すげえなあって思って」
「褒めても何も出ないよ」


真田が結婚した。真田のことだから白無垢とかそっちだと思っていたらなまえの希望に押し負けたらしく、着なれなさそうなタキシードを身に纏って恥ずかしそうに、それでも嬉しそうにはにかんでいる。さっきなまえに似合ってると言われて真っ赤になっていたのは記憶に新しい。俺たちと言えば立海テニス部、とカードの刺さったテーブルを相変わらずの面子で囲んでいる。もうテニスをやっているのは誰一人いないというのに。

真田となまえは俺たちが出会う前から付き合っていた。付き合っていたというかなんかもう見てくれは夫婦みたいな感じ。幸村くんと真田と同じテニスクラブの生徒だったなまえは自動的に幸村くんとも真田とも幼馴染みになる。出会いこそ同じだったけれどなまえは真田を選んだのだ。まあ最初からなまえの視界に幸村くんが写っていたかと聞かれればそれはノーかもしれない。

幸村くんが言っていた。俺じゃなくて真田を選ぶなまえが好きなんだと。真田に言われたらしい、確かにテニスは劣る、でもなまえだけは譲らないと。そういうの燃えるよね、と幸村くんは笑っていたっけ。幸村くんは楽しそうになまえに恋をしていた。もしかしたら辛くて泣きたかったのかもしれないけれど、そんな風には見れなかったんだ。なまえを愛しているように、真田ごと愛していたから。だって幸村くんがなまえを好きな一番の理由が、真田を好きなところ、なんだぜ、笑っちゃうだろい。


「ブン太」
「ん?」
「なにか勘違いしているようだけど、俺はなまえを諦めるつもりはないよ」
「…はは、それでこそ幸村くんだぜ」


俺の身近な友達の話
(なあブン太、新婚旅行どこがいいと思う?)
(幸村くん、夫婦水入らずって知ってる?)


20140816



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