「いらっしゃいませぇ〜ん」


家から徒歩10分のファミレスで働いて7年になる。高校から始めてずるずると大学と世話になり、今は就活生になっても働いている。と言っても就活がかなり困難でこのままフリーターで食っていこうかなどと落ちぶれた考えを持ち合わせているのも事実。さっきの甘ったるい声を出した金色店長もええ人やし…。


「なまえちゃ〜ん!5番テーブルお願〜い」
「はーい」


金色店長はエエ男探しと銘打ってホールに立つ。エエ男だったら、ゲイでも、彼女持ちでも、妻持ちでも、年齢問わず募集中らしい。暇あれば私に、あそこに座る男エエ男やない?と耳打ちしてくる。いや確かにエエ男やけど、あんた居るやろ相手、と突っ込まずにはいられない。その理由は、キッチンでメラメラと闘争心を燃やし金色店長を甘い目で見つめる一氏オーナーの視線が。


「小春に色目使いやがって死なすど!」
「なんやユウくんやきもちか〜」


ぴょんぴょこ跳ねるハートがただただうざいのをそっちのけで、私はホールを動き回った。もう日が暮れる頃にはぐったりで、時間も忘れて働いていた。クルッポークルッポーと店の古風な鳩時計が時間を告げ、交代の人に挨拶をして控え室に入る。


「なまえちゃん」
「なんですか?」
「話あるんやけど、時間平気?」


金色店長と一氏オーナーが私を引き留め、控え室にある4人掛けのテーブルを叩いた。なんの話やろう…こわいねんけど…。久しぶりに見た真面目な顔の二人に私も自然と見が引き締まる。私の前に座った金色店長が静かに口を開いた。


「遠回りはめんどいから素直に言うわ。なまえちゃん、うちで正社員として働かへん?」


金色心春と一氏ユウジの経営するファミレスで働く話


20140811
金ちゃんと白石が客で出る予定だった



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -