死にたくない、死にたくないよ、わたし。こわいよ、死ぬのはこわい。そうボスにいったら殴られたね。でもねボス、わたし女の子なんだよ、人を殺してても、人間で女の子なんだよ。ほんとは殺すのもいや、目の前で助けてくれ、って泣いてるの、涙で潤んだ目がわたしを見据えて、わたしは動けなくなる、がたがたと身体が震える、引き金を、トリガーを引く手が震える、助けてあげたいよ、もう一生家から出ずに、暗闇で暮らしていて、そう言ってわたしは拳銃を降ろしてしまいたいよ。でも、みんながそうはさせてくれないの。ボスに弱音を吐いたから、ボスがわたしを一人で任務には行かせてはくれない、死ぬのは許さない、ボスの朱い目がそう言っていたから。わたしがどんなに逃がそうとしても、みんながわたしの目の前で殺してしまう、それはもう当たり前の様に。目の前が赤に変わる、足元が赤に変わる、全身に向けられる殺意、それに返す罪悪感、死にたくない、死にたくないの、わたし。震える指はわたしの気持ちとは裏腹にしっかりとそれを射止めてしまうから、ごめんなさいごめんなさい、流したい涙はわたしを嘲笑う様に流れてさえくれない。人を殺すのは楽しくないよ、
でも死にたくないの。全てが終わったわたしの手を握ってくれるみんなの暖かい手にわたしは救われるんだよ。

これが、ヴァリアーに入ったわたしの人生。


生まれたての小鹿
(生きるためにその両足で)



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