「せめて私が死んだ時ぐらい泣いてよね」
「贅沢言ってんじゃねーよ」


ひゅんひゅん、と当たらないナイフが私目掛けて飛んでくる。いつも通りぶすぶすとソファに穴を開けたベルのナイフにスクアーロが怒鳴り声をあげた。

ヴァリアーの紅一点であった私は、幹部の中で一番弱かった。それはもちろん女だから、なんて言い訳をしたらボスに殺されるわけで、やはり実力というものに大きな差があった。本気でベルと遊べば絶対に身体は切り傷だらけ。スクアーロと稽古すれば下手すれば骨折。ルッスーリアに腹をガチで蹴られた時は痛くて一週間喋れなかった。


「誰よりも先に死ぬ自信があるよ、私」
「んな自信いらねぇ」
「これしか威張れない」
「何も威張んなくていーよ、お前ボスにカスカス言われてんのがお似合いだから」
「私Mじゃないんだけど、でもそれ褒めてくれてんの?ありがと」
「ほんと幸せな脳みそしてんね」
「ベルだけには言われたくないんだけど、」
「何それ。理由によっちゃ殺す」
「もうそのくらいにしときなさいよ」


私の愛用の拳銃とベルのナイフが手に握られたところでルッスーリアに止められた。ベルは盛大に舌打ちをして手に握った行き場のないナイフを私に投げつけてきた。やっぱり当たらない。


「ベルちゃん!やめなさい!」
「うっせーよオカマ。つーかその呼び方やめろ」


ベルにとって不完全燃焼はこれほどまでのストレスを催す。今にも誰か殺しそう。でも幹部を殺したらボスに半殺しされる。ほんとボスの半殺しはきついと思う。一回だけスクアーロが受けた事があったんだっけ。もう死にてぇって零してた、あのスクアーロが。


「ベル今日任務あって良かったね」


危機感なく私はベルの隣に座る。ほんと懲りないと思う。私もベルも。毎日同じ事を繰り返して、同じ事考えて、結局また笑ってるんだから。ああでもやっぱり私が死んだ時ぐらい泣いてほしいかな。


なんとかクオリティ
(いつものくださーい)



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