「好きだ」
「へ?」
それはそれは突然すぎて思わず、今まで出したことないような声が出た。正直わたしが一番びっくりだ。そしたらそのあと静雄が言ったことがじわじわとわたしに染み付いてきて体があつくなった。嬉しかった。素直に。わたしも静雄が好きだったから。ほんとに?って確認したら、静雄は真っ赤になっていた。
それからは大変だった。静雄は有名人だったし、わたしたちのことはすーぐに池袋に伝わった。それに静雄は普通の人より恨みを買いやすい人間で、静雄にとってわたしは弱味でしかなかった。顔も知らない黒ずくめにさらわれたり、命を危険に晒すことなんて何度もあった。でもその度に静雄は助けてくれたのだ。不謹慎だけどわたしはお姫様みたいな気分だった。そして静雄には熱烈なファンもいた。わたしたちのことを祝福する人は少ない。友達はいなくなったけど、わたしはその代わりに大きいものを手にいれたのだ。
「セルティ!」
首無しライダー、闇医者、情報屋。全てがわたしには新しかった。わたしはただの一般人だったのだ。自販機に飲み物補充するだけの毎日を静雄が全部変えてくれたのだ。
「静雄には慣れたか?」
「慣れるもなにも、ずっと一緒なんだよ?」
「それもそうだな。それで?静雄は?」
「あそこ」
指を指した瞬間、少し遠くで爆発音がした。
「大変そうだな」
「いいの、愛してるから」
愛があればなんでもできる!
~~20150511