確かに他人より女遊びが過ぎるかもしれない。そんなことは自負しているつもりだし、そもそも言い寄ってくるのは向こうである。俺の涼太という両親から貰った大事な名前を自分の媚びのために使う女は見ててもう飽き飽きした。可愛くもない顔で上目遣いをして、しよ?、なんて言ってくる女にはへどが出る。後々面倒臭くなると思ってその場その時、笑ってしまう俺も俺だが。これらを全て解決するには特定の、特別な、所謂彼女という女を作るのが手っ取り早かった。赤司にも黒子にもいい加減にしろと言われ、自分自身体力的精神的にも疲れはて、ああ、もうこいつでいいやと、そんな気分で声をかけたのが同じクラスの彼女だった。その無機質な白い肌を真っ赤に染め上げ、どもる彼女に少なからず鬱陶しさを感じながらキスをした。その口は微かに柑橘のリップの味がした。同じリップクリームっスね、と笑い、彼女の顔を見れば彼女は泣いていた。つー、と無表情のまま流れる涙に俺は動揺も何もせず、なんで泣くんスか、と涙を拭ってやった。今なら分かる、彼女があの時泣いた理由。

秋の肌寒さを感じる五限目の英語。外国人の先生がわけのわからない英語をぺらぺらと話す。俺はそれを頬杖付きながら見ていた。そんな時、その先生が彼女を指名した。その時先生が聞いた質問の意味は分からないけれど彼女はただぽつりと言った。


「Thank you for loving me」


俺は呆れて笑い、ため息をついた。ここまで自分自身が彼女に惚れていることに。この言葉はよく、彼女が俺に言う言葉だった。


What are your favorite words?
(私を愛してくれてありがとう)



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