今日は雨が降った、そのせいで今日の部活の外周は無くなって、代わりに体育館往復ダッシュが倍になった。体育館ダッシュは休む暇が無い、赤ちんが笛を吹く度に足を捻らせターンする、三軍にいたときはよく他の奴らが足首捻ってたなあ。努力なんて無駄だっつってんのにね。


「ごめんなさい!遅れた!」


赤ちんの笛が鳴るだろうとターンしようとした瞬間、明るいソプラノが体育館に響いた。そのせいで待っていた赤ちんの笛が鳴らず仕舞いになって、首元を揺らした。


「遅いぞ、何をしていた」「先生に頼まれ事されちゃって、ごめんね」


声の正体は赤ちんの幼馴染みのなまえだった。彼女はよく嘘をつく。それは彼女の口元に出来た赤い鬱血が物語っていた。また誰かの妬みを買って殴られていたのだろう。それを赤ちんは知らんぷりをする。どうしてか聞いたことがあったかもしれないけど赤ちんがなんて答えたか俺は覚えていない。


「10分休憩にしよう」


珍しいと思った。帝光中バスケ部に休憩は存在しないようなものだ。周りも俺と同じ意見だったのだろうか驚いた顔を見せていた。まあ休憩は休憩だ、ありがたくいただこうと俺は水筒を持って一人外へ出た。今は雨が止んで曇り空が上にある。上げた頭を下げて水筒の口を開く、その動作に自分の足元に水溜まりがあるのに気付いた。


「むーらさきばーらくん」「なに〜」


急に表れた彼女が水溜まり越しに俺に話しかけた。驚きもしない俺はいつもとかわらず彼女に返事をする。水溜まり越しの彼女は相変わらずニコニコしていて少しだけ腹がたつ。


「いつもニコニコしてて疲れない?」
「笑っていないと疲れちゃうの」


俺から落ちた汗が水溜まりに落ちて水面を揺らした、俺はその時そう言った彼女の表情を知らずにいる。


あなたの本当の姿
水たまりは綺麗に僕を写すだろう


2013??~20140607



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テーマ「人外ファンタジー」
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